2021 Fiscal Year Annual Research Report
Marginalisation, Colonial Experience, and Reimagining of Christianity: Focusing on a British Missionary in the East Asia
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20K21928
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三野 和惠 京都大学, 教育学研究科, 助教 (40882618)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 日本植民地期台湾(1895-1945) / 台湾基督長老教会 / イングランド長老教会 / キャンベル・N・ムーディ(1865-1940) / ペギー・C・アーサー(1891-1959) / 近代スコットランド宣教運動史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、思想・信条における排他的自他認識の問題やその克服の可能性への歴史的考察を目的に、日本統治下台湾(1895-1945)で「西洋的近代」と癒着するキリスト教像を問い、植民地主義への懐疑的姿勢を表明したスコットランド人宣教師キャンベル・N・ムーディ(1865-1940)の思想形成を解明する。具体的には、こうした思想的作業にムーディ自身の背景-「イングランド-英国国教会」を政治的・宗教的中心に据える大英帝国で非国教会派スコットランド人として周縁性を有したこと、及び日本帝国の周縁に位置づけられた台湾という場が有した意味を明らかにするため、①ムーディとその家族構成員、とりわけ在英スコットランド人移民二世であった妻ペギー・C・アーサー(1891-1959)のライフヒストリーを包括的に再構成し、②ムーディが所属した在台イングランド長老教会の性格を明確化する参照軸として、彼が一時期関与した(1901-02)英領マラヤにおける同教会の宣教と現地教会の形成史を分析する。 2021年度には、パンデミックによる史料収集の困難が予想されたため、関連する研究成果の国際的学術ネットワークに向けての発信に重点を置いた。具体的には、国際学会での英語論文の発表と英文共著の出版等を行い、本課題の土台である、台湾におけるムーディの宣教事業と台湾人教会自治運動を考察する拙著(2017年)の英訳版出版の準備を大幅に進めた。また、大学図書館相互利用サービスにより京都橘大学図書館所蔵の在マラヤ・イングランド長老教会関係史料群(上記②に関連)にアクセス、同年秋のスコットランドの渡航規制緩和後には同国国家図書館及びエディンバラ大学図書館「ロジアン医療アーカイブ」での史料調査を重点的に実施し、上記①のアーサーの人物研究に欠かせない基本史料群を収集した。これらの作業により、2021年度の研究活動はおおむね順調に進展した。
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