2023 Fiscal Year Research-status Report
「遊行上人縁起絵」諸本の基礎的研究:転写系統の分類と祖本の復元的考察
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20K21930
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本多 康子 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (80881979)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Keywords | 縁起絵巻 / 高僧伝 / 模本 / 時宗(時衆) / 転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、展示機会が少ない神戸市立博物館所蔵の遊行上人縁起絵断簡を調査し、その人物描写などは14世紀縁起絵巻の特徴が看取できることを確認した。同作と制作年代および制作環境が近いと目される遠山記念館本断簡を改めて実見し、比較検討を行う予定である。 併せて、「一遍聖絵」巻12巻末および「遊行縁起」巻10第1段にて描かれる一遍終焉の地である兵庫・御影堂(現:長光寺)を実見し、描かれている石碑及び松の位置関係を確認した(堂宇は現存せず)。 併せて、藤田美術館所蔵の「一遍上人像」について、その周縁作品の遊行寺本、九州国立博物館本などを比較検討した結果、九州国立博物館本「一遍上人像」とモティーフ(一遍肖像、六字名号、頌)の構成がほぼ同一であり、制作環境・制作年代が近似している可能性を提示し、一遍肖像画としての位置づけを明らかにした。(『國華』第1543号に掲載予定)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光明寺本、遠山記念館本、来迎寺本などいくつかの諸本調査について実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは神戸市博本断簡と制作環境・年代が近いとされる遠山記念館本断簡を調査し、これらの周縁における遊行縁起絵制作の実相を明らかにする予定である。 また、今年度調査ができなかった光明寺本については、今後熟覧・調査を実施し、遊行寺乙本との転写年代の順番等を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
2023年度までに完了できなかった「遊行縁起」諸本の調査費およびそれに関連する書籍等物品購入費に充当する予定である。
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