2021 Fiscal Year Annual Research Report
超絶主義とプラグマティズムの「自然主義」をめぐる考察
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20K21933
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
谷川 嘉浩 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 講師 (60884806)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 自然主義 / 超絶主義 / プラグマティズム / 質的調査 / アメリカ社会学 / シカゴ学派 / 想像力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカの知的歴史における「自然主義」の位置づけについて考察を深めるものである。大きく二つの成果が得られた。 第一に、博物学者ジョン・ミューアと哲学者のR.W.エマーソンという交流のあった二人の人物の思想や役割を「自然主義」という視点から再定位し、その成果を研究発表した。しかし、自然主義というそれだけで多義的かつ重要な言葉を導入しつつ、それぞれが一大思想家というべき二人の人物を十全に論じ、さらにそれを再定位するという内容を、紙幅の限られた学会誌への論文投稿という形で世に問うことはできなかった。論文とは異なる手段を用いるべきなのかもしれない。 第二に、アメリカ社会学とプラグマティズムの連関を明らかにする研究を進め、アメリカ思想史における「自然主義」の系譜を探った。具体的には、社会学者マーティン・ハマーズリーのThe Dilemma of Qualitative Method: Herbert Blumer and the Chicago Traditionを翻訳し、『質的社会調査のジレンマ:ハーバート・ブルーマーとシカゴ社会学の伝統』(勁草書房)として刊行した。本書では単に哲学を前史として扱うのではなく、19世紀の様々な学問的試みの中にアメリカ社会学を位置づけ、現象主義などのいくつかの特徴を持つプラグマティズムを引き継ぐ形で、シカゴ社会学が展開していったとの歴史が描かれる。なお、資料収集過程で得た知見は「訳者解題」の形で発表した。 加えて、自然主義とロマン主義に関係する領域でも複数の研究を行った。ゲームツーリズム(コンテンツツーリズム)という想像力が問われる消費行動の教育性、都市社会を生きる個人の不安を取り上げた作品(Neon Genesis Evangelion)の分析など、いずれも想像力に関わる主題である。
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Research Products
(11 results)