2022 Fiscal Year Annual Research Report
カントに基づく人間の尊厳概念の現代への応用可能性の探究
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20K21946
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
平出 喜代恵 関西大学, 文学部, 准教授 (90882142)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | カント / 倫理学 / 宗教論 / 人間の尊厳 |
Outline of Annual Research Achievements |
5月に「『健康』ということばの創始と普及」と題して口頭発表を行なった(東アジア文化交渉学会第14回国際学術大会、啓明大学校(韓国)およびオンライン開催、5月7-8日)。本発表では、大会の年次テーマ「パンデミックが国際交流に及ぼした影響の歴史的検討とコロナ越えへの展望を考える」および本研究の主題である人間の尊厳との関連で、その遵守に不可欠な「健康」という日本語を取り上げ、その本来的な意味とその普及について報告した。 8月に共訳書『カントと人権』(モサイェビ、レザ、石田京子・舟場保之監訳、高畑菜子・田原彰太郎共訳、法政大学出版局)を刊行した。 11月に「カントをどう教えるか――諸学者向け哲学講義を考える」を主題とする共同討議の提題者として口頭発表を行なった(「専門教育としてカントをどう教えるか――『基礎づけ』演習における試み」、日本カント協会第47回大会、オンライン開催、11月12日)。本発表では、カント『道徳形而上学の基礎づけ』講読演習における私自身の授業実践を報告したうえで、カントの思想についてなにを教えるべきかについて検討した。 加えて、介護・医療従事者を対象に講演を重ね(4月15日、9月12日、10月13日。いずれもオンライン開催)、出席者らと意見を交換してきた。講演では、カントの「人間の尊厳」という理念がどのようなもので、この理念を介護・医療の実践の場でいかに考えうるか、また考えるべきかを話題にした。その際、自己決定や優生思想などを取り上げた。 以上、2022年度は、アクチュアルな問題においてカントの「人間の尊厳」はいかなる見解を提示することができるかというテーマに取り組んだ。
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