2022 Fiscal Year Research-status Report
韓国巫俗言説の形成過程に関する宗教学的研究:1990-2010年代を中心に
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20K21949
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Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
新里 喜宣 長崎外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90879868)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | シャーマニズム / 巫俗 / 言説 / 宗教 / 韓国 / 祈福信仰 / 宗教概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1990年代から2010年代までを中心に、韓国で巫俗に対する多様な視点が形成される過程を明らかにするものである。上記の目的のもと、2022年度は巫俗を「宗教」と捉える視点に注目し、学術大会で発表する作業を行った。 巫俗への視点として、ムーダン(シャーマン)や信者によって構成される信仰や儀礼としての側面は、音楽や踊りなどの文化的領域と比べると軽視されてきたことは否めない。巫俗について語った多くの論者は、巫俗の宗教的領域を「祈福信仰」の一言で切り捨て、巫俗は文化としては認められるが、宗教としての価値はないと判断してきた。 他方、土着化神学や民衆神学を専攻する研究者、また、民俗学者の一部は、祈福性は宗教全般に基本的に見られる特徴であって、それ自体は巫俗を宗教ではないと判断する基準にはなり得ないと主張した。そこで彼らは巫俗の宗教的側面に対する思索を深め、クッに見られる共同体意識、ムーダンと信者の情熱的な信仰などを宗教として認める視点を打ち出した。このような言説は巫俗を部分的に宗教の領域に含めるものであり、巫俗の文化的側面にのみ注目する言説とは性格を異にするものであったと言える。 このように、巫俗を宗教と捉える視点は巫俗言説を捉える上で非常に重要であり、このような視点を踏まえてこそ、韓国巫俗言説を体系的に把握できるものと考えられる。本研究では以上の点をもとに、巫俗を宗教と捉える視点の歴史的な文脈を明らかにするという趣旨のもと、韓国・朝鮮文化研究会第23回研究大会において、「巫俗は『宗教』か、『宗教ではない宗教』か:祈福信仰、宗教概念、普遍的価値観という桎梏」という研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
巫俗言説は多様な分野にまたがり、新聞や雑誌、小説など、多様なメディアを通して形成されてきたものである。本研究の目的を達成するためには、1990年代から2010年代までを中心に、巫俗言説に対して総合的な観点からアプローチする必要がある。2022年度になし得た宗教としての巫俗言説への調査は、巫俗言説を総合的に検討した後、さらに意味があるものとなるだろう。 1990年代から2010年代までの巫俗言説を総合的に検討するためには、韓国で資料調査を行い、韓国の研究者と意見交換などを行う必要がある。しかし、2022年度も依然としてコロナ禍によって渡韓が制限されていた側面があり、不十分な面があることは否定できない。そのため、現在までの進捗状況は遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
1990年代から2010年代までの巫俗言説に関して、新聞、雑誌、小説などの媒体を中心に、さらに調査を進めていく予定である。調査者は2020年度から継続して学術雑誌に論文を投稿し、研究の成果を公表するよう努めてきた。この方向性は2023年度も維持する意向である。2023年度は韓国での対面での学術発表も可能になると思われる。そのため、2023年度は積極的に渡韓し、本研究の完成を目指したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる渡航制限により、韓国で実地調査を行うことができず、研究の進展が遅れたことによる。2023年度は韓国に渡航し、研究費を旅費として使用できたらと考えている。
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Research Products
(1 results)