2023 Fiscal Year Research-status Report
近代日本における中国陶磁研究への新たな視座―小森忍の活動を通して
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20K21953
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Research Institution | The National Museum of Modern Art, Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 典子 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 工芸課, 研究員 (10884679)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Keywords | 中国陶磁 / 近代 / 小森忍 / 近代中国陶磁研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界的に中国陶磁の学術的研究がはじまった19世紀後半から20世紀前半に活躍した小森忍が再現を目指した中国陶磁を体系的に整理し、美術史的な面からの考察を加えることで、近代日本の中国陶磁研究の様相を明らかにし、小森忍の功績に新たな見解を提示することが目的である。 本年度は所属機関が変わったことで研究環境の変化が大きく、予定していた中国や韓国などの国外調査が困難となった。そのため、陶雅堂窯作品及び旅順博物館関連資料に関しての文献資料の収集と整理を行った。『陶雅集』『満蒙』『陶磁』『彩壺会講演録』、『大日本窯業協會雑誌』などの小森忍、陶雅会、及びその関係者によって記された資料を中心に調査を行い、とくに陶雅会定期展覧会に出品された作品の検討を行った。そのほか、研究対象作品に関連する作品が出品された展覧会の参観調査を行い、研究成果の公表に向けての準備を進めた。 国内調査においても、予定していた小森作品所蔵機関への調査は叶わなかったが、所属機関が所蔵する板谷波山や河井寛次郎などの中国陶磁に倣った作品群の調査を通して、小森作品との比較を行うことができた。とくに、近代日本の中国陶磁研究における小森の窯業研究者としての側面を再認識することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当初より計画していた海外調査及び国内各機関での作品調査に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度と比べ国内外の調査が可能になると考えられるため、国内外の調査に比重を置いて研究を進めたい。特に国内の調査では、中国からの帰国後、精力的に中国陶磁倣古作品の制作をしたと考えられている三重の府中窯作品の調査、整理を通して、小森が再現を目指した中国陶磁の様相を明らかにする。 なお、研究成果については順次、所属学会や所属機関などで口頭発表、論文発表をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度~2022年度の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国外及び国内での現地調査が困難となり、調査費の一部が次年度以降の執行となったため。 今年度は優先的に現地調査を行う。また、状況に応じては必要図書などの購入に充てる。
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