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2021 Fiscal Year Research-status Report

アメリカ文学における摩天楼表象の変遷

Research Project

Project/Area Number 20K21964
Research InstitutionWayo Women's University

Principal Investigator

坪野 圭介  和洋女子大学, 国際学部, 助教 (80884246)

Project Period (FY) 2020-09-11 – 2023-03-31
Keywords摩天楼 / 都市文学 / アメリカ文学
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題は、摩天楼の①勃興期(1880年から1930年)、②安定期(1930年から1980年)、③衰退期(1980年から現在)という3つの時代区分を扱うものであるが、昨年度は①と②の時期に主に焦点を合わせた。
とりわけ昨年度の主要な研究成果としては、本研究が課題としている摩天楼を含む都市表象の研究を、博士学位論文の一部として結実させることができた。博士論文は、世紀転換期アメリカの都市文化を、複数の都市の構造物(照明、交通機関、建築)と、それらを描く文学作品に着目して分析するものであり、摩天楼建築は重要な対象の一部となった。20世紀転換期にエイブラハム・カーハンら移民作家があえて資本主義の象徴としての摩天楼を都市風景に描かなかったことや、1910年代に詩人カール・サンドバーグが労働者の化身として摩天楼を詩のなかに描いたこと、1920年代にアフリカ系アメリカ人作家ネラ・ラーセンが人種やセクシュアリティの揺らぎが生じる舞台としてシカゴの摩天楼を選んだこと、モダニズムを代表する作家スコット・フィッツジェラルドが1930年代に記したエッセイの中で、エンパイアステートビルディングからニューヨークという空間の「限界」を「発見」したことなど、摩天楼表象がアメリカ文化を象徴的に映し出す瞬間を、仔細に分析することができた。
また、本研究の三つ目の時代区分にあたる20世紀後半以降の摩天楼表象に関しても、調査や分析を進めており、とりわけ2001年の同時多発テロ事件による世界貿易センタービルの崩落をめぐる摩天楼表象を複数の現代作家の文学作品から考察しており、今後論文にまとめる予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

一昨年度に続き、新型コロナウイルスの流行が続いたことにより、アメリカ合衆国での現地調査がおこなえなかった。そのため、予定していた一部の研究が実施できない状況が続いている。また、国内学会・国際学会の中止などによって、学会等での成果発表をおこなうことができなかった。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、当初の予定において実施できなかったアメリカ合衆国での資料調査をおこない、研究課題の最終段階までの遂行を目指す。21世紀における摩天楼表象とアメリカ文化の関係を、2001年の同時多発テロ事件の表象や、摩天楼所有者であるドナルド・トランプ元大統領の政権下における文学作品の特徴などに着目しながら分析し、論文および学会発表のかたちで成果をまとめる予定である。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症の流行状況により、予定したアメリカ合衆国での資料調査がおこなえなかったため、次年度使用額が生じた。本年度は、あらためてアメリカでの資料調査をおこなうことを予定しており、そのための渡航費および資料購入のための物品費として、残額を使用する計画である。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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