2021 Fiscal Year Research-status Report
英国ルネサンス期における女性の創作活動の多様性と意義
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20K21966
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石渕 理恵子 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, 助教 (80881507)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 英国ルネサンス期文学・文化 / シェイクスピア / 女性作家 / 演劇上演 / 翻訳 / 散文ロマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は2つで、第1は、17世紀の英国女性作家の創作活動がその後の同国小説の展開にどのように貢献したかを明らかにすること、第2は、17世紀前半における貴族の館での演劇上演への女性の多様な関わりが、その後の英国演劇文化の展開にどのように影響したかも明らかにすることである。本研究は、第1部:「17世紀に英国で出版された男性・女性作家による作品の収集・分析等」、第2部:「海外での資料収集・調査等」、第3部:「第1・2部の取りまとめ」の3部構成である。2021年度に取り組む予定であった第2部と第3部は、コロナ禍の影響により大宗がやむを得ず2022年度以降に延期となったので、2021年度は2020年度に行なった第1部を発展させながら第3部に向けた準備に着手した。2021年度の具体的研究実績は下記の通りである。
1.17世紀以降に英国やヨーロッパ大陸等で出版された男性・女性作家の作品(散文ロマンス、戯曲、詩集、日記、手紙等)を広く収集し読み込んでの各テクスト相互間の比較研究。2.Katherine Philipsの ‘Letters from Orinda to Poliarchus’(フランスのコルネイユによる悲劇Pompey(1663年にダブリンの商業劇場で英国女性による翻訳劇として初上演された)の翻訳過程が記録されている)の分析。3.18世紀・19世紀以降の演劇上演と英国女性の多様な関わりについての概要把握。4.当時の女性を取り巻く社会や文化の全体像をより鮮明に把握するために、データベース等を駆使して政治・宗教パンフレットや作法書などジェンダー観に関わる出版物の調査。
これらの研究に取り組む過程で、イギリスでの学会セミナーへのオンライン参加や英語論文2本の執筆と改訂を進めることもできたので、これらを今後主要査読誌等に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に行なった第1部の研究を発展させながら、第3部の研究成果の取りまとめ準備にも着手することができた。「研究実績の概要」記載の通り、これらの研究に取り組む過程で、イギリスでの学会セミナーへのオンライン参加や、英語論文2本の加筆・改訂も進めることができた。これらは随時査読付き雑誌に投稿予定である。しかしながら、本研究第2部第1期(2021年2~3月)、第2期(2021年8~9月)として予定していた大英図書館、米フォルジャー・シェイクスピア図書館、ニューベリー図書館等での資料収集と調査がコロナ禍の影響で2022年度以降に延期となり、日本で入手困難な資料の調査・分析が持ち越しとなっている。海外での資料収集・調査は本研究の取りまとめに不可欠であるため、本研究の進捗状況として「(3)やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.2022年8月から9月頃に大英図書館や英アーカイブ等での資料収集・調査を実施予定(本研究第2部) 2.2022年9月に英国で行われる学会‘The Sidneys of Penshurst and Beyond: Contexts, Connections, Collaborations’での研究発表に応募予定(本研究第3部) 3.「日本シェイクスピア協会」等の学会発表に応募予定(本研究第3部) 4.「日本シェイクスピア協会」のShakespeare Journal等の主要査読誌に投稿予定(本研究第3部)
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Causes of Carryover |
本研究第2部第1期(2021年2月~3月)および第2期(2021年8月~9月)で予定していた、大英図書館、英国のアーカイブ、米フォルジャー・シェイクスピア図書館等での資料収集・調査が、コロナ禍のため2022年度以降に延期となった。よって国外旅費は次年度使用に繰り越しとなった。今年度(2022年度)は第2部第1・2期を合わせた英国等での資料収集と調査等を予定しているが、感染状況等を見極めながら実施可否を判断したい。更なる研究環境の充実を図るため、引き続き積極的に最新の研究書等の購入を行う予定である。そのための費用を2022年度に請求予定である。
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Research Products
(1 results)