2022 Fiscal Year Research-status Report
英国ルネサンス期における女性の創作活動の多様性と意義
Project/Area Number |
20K21966
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石渕 理恵子 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, 助教 (80881507)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
|
Keywords | 英国ルネサンス期文学・文化 / シェイクスピア / 女性作家 / 演劇上演 / 散文ロマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究には2つの目的がある。1つは、17世紀全般の女性作家の創作活動が、その後のイギリス小説の展開にどのように貢献したかを明らかにすること、もう1つは、17世紀前半における貴族の館での演劇上演への女性の多様な関わりが、その後の英国演劇活動の展開にどのように影響したかも探究することである。本研究は3部構成であり、2022年度は第2部(海外での第一次資料収集・調査)に着手し、第3部(第1・2部の取りまとめ)の準備を更に進めた。コロナ禍の影響等により、本研究の一部は2023年度以降に延期となったが、第1部(先行研究分析と17世紀全般に英国で出版された男性・女性作家による作品の収集・分析)を更に発展させることもできた。 大英図書館では、17世紀英国で出版された女性作家の散文ロマンスや演劇等に加え、18・19世紀以降の演劇上演文化への英国女性の関わりについての第一次資料収集に着手した。現在、収集した資料の調査を進めている。2021年に現代版テキストが出版されて以来、欧米で注目が集まっている17世紀後半の散文ロマンスRivall Friendship(創作年は1665年から1685年頃、執筆者の候補は、英国女性ブリジット・マニンガム)の調査・分析を行いながら、その後のイギリス小説の展開に女性が如何に貢献したかに関する調査も進めている。17世紀以降に英国やヨーロッパ大陸等で出版された男性・女性作家の多様な作品(散文ロマンス、演劇、翻訳、演劇上演広告ビラ・チラシ、詩集、日記、手紙等)相互間の比較研究や、当時のジェンダー観に関わる出版物の調査も引き続き行った。これらの研究に取り組む過程で、英国の出版社から出版予定の論文集(国内外の研究者が寄稿予定)へアブストラクトを投稿し、国内外の学会で研究発表も行った。英語・日本語論文の執筆も進めることができ、これらの成果は随時査読誌に投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、2021年度までの本研究の成果を発展させながら、第2部として位置づけている英国での第一次資料収集・調査に着手した。同時に、第3部の研究成果の取りまとめ準備を更に進めることもできた。「研究実績の概要」記載の通り、これらの研究に取り組む過程で、英国の出版社から出版予定の論文集(国内外の研究者が寄稿予定)へアブストラクトを投稿した。国内外の学会で研究発表を行いつつ、英語・日本語論文の執筆も進めることができた。これらは随時査読付き雑誌に投稿予定である。しかしながら、長引くコロナ禍の影響等により、大英博物館以外の英国の各アーカイブや、米国の図書館等での資料収集・調査は2023年度以降に延期となったため、日本で入手困難な多くの資料の調査・分析が持ち越しとなっている。海外での更なる第一次資料収集・調査は本研究の取りまとめに不可欠であるため、本研究の進捗状況を「(3)やや遅れている」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.2023年8月から9月頃に大英図書館や英国の各アーカイブ、米国のニューベリー図書館等での第一次資料収集・調査を実施予定(第2部) 2.「日本英文学会」等の学会発表に応募予定(第3部) 3.「日本シェイクスピア協会」のShakespeare Journalや「日本英文学会」の『英文学研究』をはじめ、国内外の査読付き雑誌に投稿予定(第3部)
|
Causes of Carryover |
本研究第2部で予定していた、大英図書館、英国の各アーカイブ、米国のニューベリー図書館等での第一次資料収集・調査が、コロナ禍のため2022年度以降に延期となっていた。このような背景の中で、2022年度は、大英図書館での第一次資料収集・調査を一部実施できたが、長引くコロナ禍の影響等により予定していた資料収集が終了しなかった。よって国外旅費の一部が2023年度使用に繰り越しとなったため、次年度使用額が生じた。2023年度は英国や米国等での第一次資料収集・調査等を引き続き予定しているが、現地の状況等を見極めながら実施したい。更なる研究環境の充実を図るため、引き続き積極的に最新の研究書等の購入を行う予定である。そのための費用も2023年度に請求予定である。
|