2022 Fiscal Year Annual Research Report
母語話者とのビデオレターによるスピーキング能力向上特性の解明
Project/Area Number |
20K21969
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高瀬 奈美 静岡大学, 情報学部, 講師 (20705199)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
Keywords | 外国語学習 / スピーキング / オンラインコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、ビデオレター(VL)を利用した英語母語話者との交流によるスピーキング力の向上特性を明らかにすることである。初級学習者がVLを通した母語話者との実践的コミュニケーション活動により習得できるスピーキング力を解明する。一般的に、スピーキング能力の測定は、個々のばらつきが大きく、比較が難しい。本研究は、量的に正確性、複雑性、流暢性(CAF)の観点から分析することで、VLを用いた言語学習能力の向上特性を明らかにすることを試みた。 本研究は、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)のレベルA1からB2に該当する英語学習者が、VLの活用によってスピーキングに与える効果について検証したものである。研究のために2つのグループが編成され、1つのグループには英語母語話者とVLを利用して、タスク活動を行った。もう1つのグループ(非VL群)は、同時接続型のビデオ会議システムを利用して同じタスクを行った。英語母語話者は、アメリカに住んでいる大学生が参加した。英語学習者は、日本に住んでいる日本語母語話者である大学生1,2年生であった。どちらのグループも3週間のやり取りを行い、前後1週間でスピーキングテストとアンケートを実施した。事前事後のスピーキングの変化を比較した結果、VLを利用したグループは、全体に占める基本的語彙の割合が減少した。一方、非VL群は、文の複雑性指標が事後テストで顕著に下がり、また、基本的語彙の割合が増加し、レベルの高い語彙が減少した。語彙の正確性、語彙の多様性、発話速度、調音速度については変化がなかった。VLの利用は、短期間の練習であっても初級学習者にとって、英語母語話者と交流する良い機会になるだけでなく、語彙の使用に変化を与えることが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)