2020 Fiscal Year Research-status Report
Acquisition of non-native articulatory gestures: an articulatory study of liquids
Project/Area Number |
20K21979
|
Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
守本 真帆 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 理論・対照研究領域, プロジェクトPDフェロー (70876200)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 音声学 / 調音音声学 / 流音 / 動作の複雑性 / 母語の調音動作 / 第二言語の調音動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本語母語話者による日本語ラ行音の調音の実態を記述し、英語学習者における流音の調音動作の習得過程との関わりを調査する。本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い新たな音声産出実験の実施が困難となったため、予定していた実験を延期し、文献調査および学会等における情報収集を通して実験の実施とデータ分析のための準備、そして既存のデータを用いて予備調査を行った。
日本語母語話者による流音の産出に関する予備調査の主な成果は以下のとおりである。 (1)日本語母語話者による日本語ラ行音の調音を対象とした調査においては、周辺にある母音によって流音の調音方法に違いが出てくる可能性だけでなく、流音の存在によって周辺母音の調音にも影響がある可能性が示唆された(ただしこれらの結果は既存データの収集の際に生じた問題等により、より精密に制御された実験にて検証する必要がある)。 (2)日本語母語話者による英語流音の調音を対象とした調査においては、日本語ラ行音を/l/のような側面音として調音する傾向のある日本語母語話者であっても、必ずしも英語における流音/l/と/r/を区別して発音するのが得意とは限らないことが示唆された。一方、周辺母音環境等によって日本語ラ行音の調音方法にばらつきがみられる話者においては比較的大きな/l/と/r/の音響上の区別が見られた。これらの結果は話者数が少なく予備的なものであるが、個人の調音動作傾向に着目した本研究の意義を裏付けるものといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、令和2年度中に予定していた実験を安全に実施することが不可能となったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の新型コロナウイルス感染症の収束状況を考慮しながら研究を進める。 安全に実験を実施することが可能となるまでに引き続き実験の準備・文献調査を進めるとともに、予備研究のデータを用いて分析を行い、論文にまとめる。状況によっては、磁気センサシステムよりもさらに侵襲性の低いデータ収集手法への切り替えを検討する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、実験の実施を延期したため。令和3年度は感染リスクに配慮しつつ実験によるデータ収集を行う予定である。
|
Remarks |
非公開研究会での研究発表: Maho Morimoto "Consideration of gestural complexity in Japanese /r/" Phorum (University of California, Berkeley)
|