2021 Fiscal Year Research-status Report
公立小学校における外国ルーツの子どもの支援教室活動を学校全体と共有する取り組み
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20K21984
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 美佳 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 助教 (20875091)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 母語 / 継承語 / 外国にルーツをもつ子ども / 在日ベトナム人 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公立小学校内に設置された外国ルーツの子どもたちの母語教室の活動を、在籍校の他の児童に向けて公開・共有する試みを実施することで、1)外国ルーツの子どもたちの母語・母文化に対する興味関心や誇りを高めること、2)在籍校の他の子どもたちの他言語・他文化への興味関心や尊重の気持ちを高めること、3)学校・地域全体の「多文化共生」の意識を高めることを目指すものである。本研究を通して公立学校内に外国ルーツの子どもたちが母語・母文化を学ぶ場所を設けることによって学校全体の「多文化共生教育」を実現する具体的な手法を提案する。 2021年度も前年度同様、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から様々な活動制限があったものの、その中でできることを着実に進めることができた。1つ目の目的「外国ルーツの子どもたちの母語・母文化に対する興味関心や誇りを高めること」について、ルーツに対して異なる感情を持つ子どもたち一人ひとりに向き合う環境づくり、それぞれの子どものレベルやニーズに対応し得る教材の改良を行うことができた。本研究の主軸に据えている交流活動については、2019年度に試験的に実施した活動について学会発表等を行うことで、その意義や課題を再検討することができた。交流活動を対面で実施することは本年度も叶わなかったものの、教室の紹介ビデオを作成して校内放送をするという形で実施した。その際、2つ目、3つ目の目的の達成につなげることを視野に、支援教室の認知度を測る調査を併せて実施した。この結果を基に、学校・地域全体に向けて「開く」試みのあり方を考えていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時には、外国ルーツの子どもたちと在籍校の他の子どもたちとの交流活動を毎年度2回ずつ実施し、その実践について検討することを研究の主軸に据えていたが、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から交流活動の実施が叶わずにいる。そのため当初の予定とは異なり、過去の実践内容を再検討したり、教室活動の内容の充実を図ったりすることが研究の中心となっている。その成果として、母語教室やその活動を「開く」ことの意義と課題を確認することができているため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の終わりに、教室の紹介ビデオを作成して校内放送をするという試みを実施した。その際、教室の認知度等を測るアンケート調査を実施したところ、新たな課題を確認することができた。この結果を基に、次年度は学校・地域全体に向けて「開く」試みのあり方をさらに検討していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、学会がオンラインで開催されたり、支援現場の視察等の予定がなくなったりしているため、予算(主に旅費)の使用計画に変更が生じた。残額は、研究のための資料購入や教室活動実施のための文具その他の購入に充てる予定である。
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