2021 Fiscal Year Research-status Report
アンドレ・ブルトンにおける1940年代以降の自動記述の視覚的・造形的性質
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20K21988
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
中田 健太郎 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 講師 (90727736)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | シュルレアリスム / オートマティスム / アンドレ・ブルトン / 自動記述 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アンドレ・ブルトンの1940年代以降の自動記述(オートマティスムによる詩的実践、エクリチュール・オートマティック)作品を主たる対象として、その視覚的・造形的性質について検討するものである。そのような検討をとおして、ブルトンのオートマティスム論の特質を再検証することも、本研究の目的である。 研究の二年目にあたる2021年度には、アンドレ・ブルトンの自動記述をめぐるテクストの読解と、関連研究文献の収集・調査をひきつづきすすめた。関連研究文献としては、シュルレアリスム文学をめぐる近年の研究文献や、視覚芸術をめぐる研究資料を広く調査した。この作業は、現在すすめている、ブルトンの初期自動記述作品の翻訳にも、積極的に活かされる予定である。 また、2021年10月には、塚本昌則教授(東京大学)と鈴木雅雄教授(早稲田大学)を中心に組織された連続講演会「文学としての人文知」(第7回)において、「マンガにおける文学、あるいはマンガとしての文学」と題する講演を行った。そこでは、「エクリチュール」の概念をマンガに敷衍しつつ、マーティン・ヴォン=ジェームズのビジュアル・ロマンなどを事例とした分析を行った。この講演は、シュルレアリスムを直接の対象としたものではないが、ブルトンのエクリチュール・オートマティックの概念などを念頭においたものであり、自動記述論と視覚芸術の結びつきを再検証する本研究の方向性の一端をしめすものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、資料収集等の作業は予定よりもやや遅れている。また、昨年度より着想していた論文を、2021年度内に完成・公表できなかったため、論文内容・公表時期にかかわる計画を一部見直した。 上記理由のため、本研究を、二年計画から三年計画に延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
講演会「文学としての人文知」(第7回)において、「エクリチュール」の概念と視覚芸術の結びつきをしめしたことは、重要な機会となった。その講演内容は、2022年度内に論文として完成させる予定である。 また、本研究の枠内ですすめてきた調査を総括するため、アンドレ・ブルトンの自動記述論・オートマティスム論の視覚的・造形的性質にかんする論文を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究を、二年計画から三年計画に延長したため、研究の完遂・公表にともなう予算として、次年度使用額が生じた。
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