2022 Fiscal Year Research-status Report
アンドレ・ブルトンにおける1940年代以降の自動記述の視覚的・造形的性質
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20K21988
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
中田 健太郎 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 講師 (90727736)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | シュルレアリスム / オートマティスム / アンドレ・ブルトン / 自動記述 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シュルレアリスムを主導した詩人アンドレ・ブルトンの、1940年代以降の自動記述(オートマティスムによる詩的実践、エクリチュール・オートマティック)作品を主たる対象として、その視覚的・造形的性質について検討するものである。そのような検討をとおして、ブルトンのオートマティスム論の特質を再検証することも、本研究の目的である。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響のもと研究計画が延長され、三年目となった2022年度には、ひきつづき自動記述関連資料の収集・調査をおこなった。その成果を活かしながら、ブルトンの自動記述作品(『磁場』)の翻訳作業をすすめ、またその解説を執筆している。さらに、代表的な自動記述論集として知られてきた、『夢の砂のなかには風を掬うシャベルが』(Une pelle au vent dans les sables du reve, 1998)の翻訳作業も、並行してすすめている。後者の翻訳作業は、自動記述をめぐる研究状況の確認・整理の機会ともなっている。 また、1940年代以降の自動記述における視覚性・造形性についての検討をおこなうため、第二次世界大戦以降の芸術にかんする調査・研究もすすめている。その研究は、『マンガメディア文化論 フレームを越えて生きる方法』(鈴木雅雄・中田健太郎編、2022年)の編集作業にも活かされた。同書は、本研究計画が直接企図したものではないが、シュルレアリスム以降の芸術の視覚性・造形性をめぐる研究の一環をなすものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度実施した講演「マンガにおける文学、あるいはマンガとしての文学」の内容の論文化に遅れが生じるなど、論文発表は予定どおりには実現していない。また、自動記述にかんする翻訳作業も、当初の予定より遅れている。上記理由のため、本研究計画を、再度一年間延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
講演「マンガにおける文学、あるいはマンガとしての文学」の内容を論文としてまとめ、公刊する。また、自動記述にかんする現時点での調査・研究を、翻訳・解説のかたちで公表する予定である。 以上の成果を踏まえ、自動記述の視覚的・造形的性質について総括する論考を、2023年度内に完成させることを目標とする。
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Causes of Carryover |
研究計画を再度一年間延長したため、研究の完遂にともなう予算として、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)