2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K21993
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
長縄 祐弥 拓殖大学, 外国語学部, 助教 (70880508)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | スペイン語 / 前置詞 / 意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度ではまず、2020年度におこなった口頭発表の内容をもとに論文を執筆し、2022年3月発行の『拓殖大学語学研究』 146号において発表した. この論文における考察の結果、手段の意味を有する前置詞としてconがデフォルトで使用されることが認められたが、a, de, porといった他の前置詞もまたこの意味を有しており、それぞれのニュアンスの差についても考察をおこなう必要があると思われた.そして、手段の意味を表す前置詞が多岐に渡り、かつその意味が異なるのは、各々の前置詞が有する空間的意味が異なるためではないかという仮説が浮かびあがったため、テーマを修正した.すなわち、空間的意味から手段の意味が拡張しているプロセスを観察し、これらふたつの意味の関連性に関する考察をおこなうことを次の課題とした. 各前置詞を観察していくと、空間的意味のときの特徴と手段の意味のときの特徴がおおむね一致しており、仮説が成り立つように思われる.例えば、前置詞aは近接を表す空間的意味を有するものの、その意味で共起可能な名詞は限られている.その一方で、手段の意味で共起可能な名詞を観察すると、空間的意味と同様に限定的である.このような考察に加え、これら2つの意味の関連性をさらに観察するために、どのようなプロセスを経て、空間的意味から手段の意味が拡張したのか考察をおこなった. この考察は、空間的意味から様々な意味が拡張していることを示すひとつの証拠となり、さらには意味拡張のプロセスを観察するためのひとつの方法論となりうることが期待されるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の後期において、本研究テーマとは異なるテーマで論文を執筆したため、本研究にかける時間が多くとれなかったものの、おおむね滞りなく進められていると考えられる.当該年度もスペインの渡航がかなわなかったが、この点についても本研究を進めるにあたり、大きな弊害にならないよう工夫し、研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
申請時には日本語の助詞「で」が「手段」の意味で用いられる場合、それにあたるスペイン語の前置詞との対照研究をおこなう予定であったが、前置詞が有する空間的意味と手段を表す意味の関連性に関する研究に変更し、考察を進めている.この研究については、2022年4月開催の第445回関西スペイン語学研究会において口頭発表をおこなう予定である.そして、この発表をベースにした論文を今年度中に執筆予定である. テーマは変更したものの、研究期間が申請時(2020年9月-2022年8月)から半年延長、つまり2023年3月までと認められたため、日本語の助詞「で」とそれに対応する前置詞の対照研究も可能な限りおこなっていきたい.
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Causes of Carryover |
昨今の状況により、スペインへの出張のために申請していた旅費の執行ができなかったため.状況が許せば、2022年8月あるいは2023年3月に渡航をおこないたいため、次年度使用額が生じている. 上記渡航がかなわない場合は、国内学会の旅費や研究図書の購入などを通じ、適切に執行する予定である.
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Research Products
(1 results)