2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K21993
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
長縄 祐弥 拓殖大学, 外国語学部, 助教 (70880508)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | スペイン語学 / 前置詞 / 意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、役割のひとつに手段の意味を有する前置詞であるa, con, en, por, de, desdeをとりあげ、それぞれの前置詞の空間的意味および手段の意味との関連性について考察をおこなった.道具を表す名詞と共起し、かつ手段を表そうとする場合、前置詞はcon がデフォルトとして選択されるものの、con以外にも手段の意味を表す前置詞が確認され、その前置詞は多岐にわたる.このように手段を表す前置詞が様々観察されるのは、それぞれの前置詞が示す空間的意味が異なるためであるという仮説をたてたうえで、各前置詞のふたつの意味のつながり、とりわけ空間的意味から手段の意味が拡張する様子を観察した.その結果、前置詞が手段の意味を有するためには、1. 経路を表せること、2. 隣接していること、3. 道具の形状が平面あるいは容器であることという3つの要素のうちのひとつが必要であることが明らかになり、手段の意味は前置詞が本来有する空間的意味と大きく関連付けられることを主張した.以上については2022年4月開催の第445回関西スペイン語学研究会で口頭発表をおこない、その発表におけるコメントや質問をもとに2023年3月発行の『拓殖大学 語学研究』148号にて発表した. この研究を通じて、手段の意味を表す前置詞を選択する際、デフォルトでconが用いられることを改めて確認した一方で、con以外の前置詞が用いられる場合には共起する名詞の性質が大きく関わるのであるが、このときそれぞれの前置詞が本来有する空間的意味もまた関係していることを明らかにした.加えて、前置詞の中心的な意味は空間的意味であり、その中心的意味から様々な意味が拡張するというひとつの裏付けを提示し、さらには意味拡張のプロセスを観察するためのひとつの方法論を提案した.
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Research Products
(2 results)