2021 Fiscal Year Research-status Report
Expansion of the Digital Archive of Kuchi-e Prints and Its Use in Research on Meiji Publishing Culture
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20K22005
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
常木 佳奈 久留米工業高等専門学校, 一般科目(文科系), 助教 (60881654)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 木版多色摺口絵 / 出版文化 / デジタルアーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は前年度に引き続き「口絵ポータルデータベース」の拡充を行ったほか、明治期における春陽堂書店の出版活動の整理に着手した。その内容・成果は、以下のとおり。 1.研究代表者が以前から取り組んでいる、近代書物の装丁意匠アーカイブのうちから口絵画像をピックアップし、「口絵ポータルデータベース」へメタデータとともに登録した。木版口絵にかんする画像については随時追加作業を行っており、「ポータルデータベース」として着実に成長させることができている。 2.特に美麗な木版口絵付書籍を出版したとして知られる書店・春陽堂の出版活動の整理に着手した。具体的には、久保欽哉(編)『春陽堂書店発行図書総目録(1879年~1988年)』(春陽堂, 1991)をベースに、明治20年から明治45年までの間に同書店から発行された書籍のうち、木版口絵が付されているものがどの程度の割合を占めるのかについて、現在調査を進めている。この件については引き続き調査を行い、分析を行ったうえで、2022年度中に論文化したい。あわせて、木版口絵の制作にかかわっていた画家・絵師や木版職人らなどによる記述についても整理を行っているため、これらも何らかの形で成果をまとめたいと考えている。 なお、国内外の資料所蔵機関での調査については、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2021年度もほとんど実施することができなかった。ただし、移動に関する規制は緩和されつつあるので、情報収集を続けながら資料所蔵機関への訪問準備を進めておきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも記述したとおり、2021年度は「口絵ポータルデータベース」の拡充を行ったほか、明治期における春陽堂書店の出版活動の整理に着手した。一方で、前年度同様、新型コロナウイルス禍においては国内外問わず移動が困難な期間が長かったために、資料所蔵先での新規調査を実施することができなかった。以上の理由から、当初の計画よりもやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度同様、海外渡航にかんしては見通しが立っていないような状況である。海外渡航が可能になり次第、新規調査となるアラド美術館所蔵のコレクションに着手したいと考えている。国内のコレクションにかんしては、状況が落ち着いているうちに積極的に調査を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
「研究実績の概要」や「現在までの進捗状況」にも記述したとおり、2021年度も前年度同様、新型コロナウイルス感染拡大の影響で国内外の移動が困難であったために、資料所蔵先での調査をほとんど実施することができなかった。特に、アラド美術館(ルーマニア)、カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館(アメリカ)における調査を実施できなかったことが、当該年度の予算使用額の変更に大きく影響した。移動にかんしては徐々に規制が緩和されるような流れであるため、引き続き現地の学芸員と情報を交換しつつ、状況が落ち着き次第、速やかに調査に着手したい。
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