2021 Fiscal Year Research-status Report
The definition of "Africa" and the concept of "race" in Pan-African movements
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20K22009
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
中尾 沙季子 京都精華大学, その他の部局, 講師 (50883899)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | パン・アフリカ主義 / 人種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「アフリカ」と「人種」概念の結びつきを、西アフリカ地域のひとびとの帰属を規定する社会関係のなかで捉えなおすことを主眼とし、実際にセネガルをはじめとする西アフリカ諸国で史料調査やインタビュー調査を行うことを主な研究手法として想定していた。 しかし、初年度に引き続き2021年度も新型コロナウィルス感染症の蔓延が続いたため、当初の計画を大幅に変更し、現地での調査を前提とするアフリカ独立党の具体的な事例にもとづく分析を中断することとなった。 2021年度は、前年度から着手している「人種」概念の形成と受容についての二次文献の整理、考察を続けたほか、「人種」概念についてさまざまな角度から研究を進めている国内外の研究者と意見交換を行った。 また、「アフリカ」への帰属意識の形成と人種意識の生成との連関を考察するにあたって、他地域との相互作用からの分析を行うこととし、アジアにおける「アフリカ」観、アフリカにおける「アジア」観についても文献調査を行った。なかでもアジア主義者の満川亀太郎と、パン・アフリカ主義者のジョゼフ・ケイスリー=ヘイフォードの著作に焦点をあて、それぞれの「アフリカ」観、「アジア」観と人種意識の連続性が、自身の帰属意識に与える影響について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大の影響が、初年度から続いており、本研究課題の中核となるセネガルでの史料およびインタビュー調査を行うことができていない。このため、より広範な視座から、二次文献を中心とした分析や、国内での史料収集が可能なアジア地域との連関に焦点をあてた分析を行った。計画を大幅に変更しての実施となったため、新しい計画に沿って、一定の成果を出すまでには、さらに時間が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度開始した、アフリカにおける「アジア」観とアジアにおける「アフリカ」観についての分析を進め、学術雑誌に投稿するための準備を行う予定である。また、アフリカ文化の再定義を試みた歴史家のジョゼフ・キ=ゼルボが2022年に生誕100周年を迎えることから、氏の考察を振り返る機会を企画し、世界史におけるアフリカ史の位置づけを再考し、世界との連関で「アフリカ」の輪郭が形成されていく過程を明らかにしたい。そのうえで、こうした文化的側面からの帰属意識の形成が、「人種」概念の受容に与えた影響についても考察を進めたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、計画していたセネガルでの渡航調査を2年度続いて行うことができなかったため、繰り越し金額が発生している。今後の状況次第で、次年度の渡航を計画するほか、書籍の購入や、国際シンポジウムの準備費用としても使用予定。
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Research Products
(2 results)