2020 Fiscal Year Research-status Report
植民地期台湾農村における農業技術の社会史――経験・利用・創作に注目してーー
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20K22017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
都留 俊太郎 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (00871401)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 台湾 / 水利 / 技術 / 環境 / 農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、帝国史・技術史・経済人類学・ジェンダー論にかんする先行研究の検討を進め、さらに文書史料、以前に実施した調査資料の分析を主におこなった。加えて、現地在住の調査助手の補助をえて、フィールドのインフォーマントとのビデオ通話による聞き取り調査を二回おこなうことができた。新型コロナウイルスの流行が終息しなかったため、当初予定していた台湾農村でのフィールドワークは中止を余儀なくされたが、研究課題の達成に向けた作業を概ね順調に進めることができた。 以上の作業をまとめて、日本統治期台湾農民による水利技術の利用を主題とした論文を執筆した。学術誌(英語)に投稿しており、現在、査読中である。また、日本植民地研究会春季研究会にて、「『台湾之農具』と帝国の視角」」と題して、農業技術研究の基本資料である台湾総督府殖産局編『台湾之農具』にかんする分析の成果を発表した。これについては、まもなく国内の査読誌に投稿する予定である。 さらに、上記の作業に関連して、フィールド調査対象地域を事例とした現代台湾の地方志およびジェンダーにかんする論文を執筆して投稿した。そのほか、台湾ジェンダー史研究者として注目されている梁秋虹氏の論文を翻訳して、国内の学界に紹介することができた。 日本統治期に対象地域のエリートであった劉崧甫氏の日記の整理・解読も進めている。翻刻・注釈はほぼ完了することができた。公刊にむけて、様式の統一などを残すのみとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスによる一連の混乱の影響は受けているものの、これまでの調査で蓄積してきた資料やオンライン資料の利用、ビデオ通話を利用した聞き取り調査の実施を通じて、作業を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
中文の査読誌への投稿を目指しており、中文の先行研究の消化につとめる。また、新型コロナウイルスによる混乱はしばらく継続する見通しのため、ビデオ通話を利用した聞き取り調査を継続して実施できるよう準備する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、予定していた台湾農村調査の中止を余儀なくされ、旅費を中心に予定の額を使用しなかった。次年度にあらためて中期の台湾農村調査をおこなうことで使用する予定である。
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