2020 Fiscal Year Research-status Report
The Creation of the Preservation Basis of Japanese Digital Records by System Development and Examination
Project/Area Number |
20K22018
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 陽 京都大学, 大学文書館, 特定助教 (10882615)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 電子記録 / アーカイブズ / 信頼性 / 真正性 / デジタルアーカイブ / 長期保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電子記録の長期保存について世界のアーキビストが集い研究を進めるインターパレス・プロジェクトの成果を導入しながら、実際に運用された実績をもつアプリケーションを複数組み合わせたシステムを開発・検証し、日本型の電子文書保存基盤を創生することを目指す。このシステムには、インターパレス・プロジェクトの知見を取り入れたオープンソースのアプリケーションを採用する。オープンソースの利点は、既製品と違い、無償提供されていることだけでなく、ソースが公開されているため、データの処理過程が明らかになるところにある。この特徴は、記録が業務の証拠であることを示すための信頼性と真正性を電子記録に付与する上で非常に重要となる。しかし、採用するアプリケーションは主に欧米の知識がベースにあるため、日本の状況に適合しない部分があると予想される。その点を検証・修正した上で、日本の電子文書を歴史研究の素材となるだけの証拠性を備えた形で保存していくための基盤とは何かを考える。 今年度は、まず国内の研究の特徴を明らかにし課題を抽出するため、日本のアーカイブズ学研究の整理と欧米の研究史との比較を試みた。これまで日本のアーカイブズ研究の特質については英語で公表されることがなかったことを考慮し、オーストラリアの専門誌に投稿した。その結果、掲載されるにいたった。 アプリケーションについては、現用記録管理の標準であるISO 15489やDoD 5015.2に準拠したアルフレスコ(Alfresco)を検討した。アルフレスコにより、電子記録に信頼性と真正性が付与されることが確認された。また、アルフレスコのワークフローの機能により、日本の稟議制度に即した決裁の様式も実行可能であることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルフレスコの記録管理機能の実装についてはマニュアルに記載がなかったが、年度内に導入し概ね検証を終えることができた。日本の研究史の整理、国外における研究の動向のフォローも順調に進められている。
|
Strategy for Future Research Activity |
感染症により海外調査の実行は難しいため、オンラインでの学会・ワークショップへの参加、オンラインによるシンポジウムの開催を行い、電子記録保存システムの実践事例を調査する予定である。また、すでに検証を終えているアーカイブズにおける非現用記録の長期保存システムであるアーカイブマティカ(Archivematica)とアルフレスコの連動の可能性についても検討を開始する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行により、予定していた国内調査ですら十分に実施できなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせ、国外のオンライン学会やワークショップへの参加、オンラインによる国際シンポジウムの開催に使用していく予定である。
|