2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on the cultural history of reconstruction; housing policy, inhabitant's experience and memory in war damaged city
Project/Area Number |
20K22019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西井 麻里奈 大阪大学, 文学研究科, 助教 (30836078)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 戦後住宅政策 / 戦災復興 / 戦災者援護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、以下の3つの小課題[A]戦災者の住宅対策に関する研究、[B]復興をめぐる集合的記憶形成の力学に関する研究[C]復興をめぐる個人の記憶と経験に関する研究、に分けて実施するものとした。 以上のうち、2020年度は課題[A]に関わる研究を進めた。新型コロナウイルス感染拡大により、課題[A]にかかわる可能な範囲での文献資料調査を行うことを軸とした。まず、戦後広島における戦災後の公的な住宅対策・住宅政策の基礎的な状況をまとめた。また、戦後広島の住宅再建については、とかく戸数の成果に解消された記述に陥りがちであるため、住民生活の実相に即した研究可能性を探った。このなかで、年度の後半には恩賜財団同胞援護会広島支部の活動に関する資料、戦災復興期の住民生活に関わる新聞資料の収集を行った。1950年代半ば以降に本格化する「被爆者援護」とは異なる「戦災者援護」の水脈と、戦災者の住宅対策との関係について検討を進め、戦災者援護のための住宅には多様な建設主体があったことを確認した。 また、住宅復興に関する議論は『戦時・戦後復興期住宅政策資料 住宅営団』(西山夘三記念すまい・まちづくり文庫住宅営団研究会編)の検討を開始し、特に戦後の全国的な住宅運動と、広島の住宅復興との関係を検討した。 当初予定していた広島における資料調査の実施は1回にとどまり、十分な進捗とならなかったため、成果報告には至らなかった。ここで得た資料の検討を次年度も引き続き継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、以下の3つの小課題[A]戦災者の住宅対策に関する研究、[B]復興をめぐる集合的記憶形成の力学に関する研究[C]復興をめぐる個人の記憶と経験に関する研究、に分けて実施するものとしたが、新型コロナウイルス感染拡大状況のなかで、資料調査や聞き取り調査の実施が困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、以下の3つの小課題[A]戦災者の住宅対策に関する研究、[B]復興をめぐる集合的記憶形成の力学に関する研究[C]復興をめぐる個人の記憶と経験に関する研究、に分けて実施するものとしたが。課題[B]は本研究全体の総括につながるものであるが、新型コロナウイルス感染拡大状況下では課題[B]に連動する課題[C]に十分取り組むことが出来ないと考えられる。このため、本研究の中心課題である[A]に集中して取り組み、課題[C]は文献資料調査で可能な範囲の調査にとどめる。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた出張を取りやめたため。新型コロナウイルス感染拡大状況を見ながら、次年度前半に使用する。
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