2020 Fiscal Year Research-status Report
戦後民主主義とハンセン病療養所―長島愛生園を事例に―
Project/Area Number |
20K22023
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松岡 弘之 岡山大学, 社会文化科学研究科, 講師 (30877808)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ハンセン病 / 自治 / 総力戦 / 戦後民主主義 / 地域社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
covid-19感染拡大防止の観点から、岡山県外での調査を実施することができなかったものの、長島愛生園入所者自治会および歴史館学芸員連携しつつ自治会所蔵資料についての調査を実施した。その結果、簿冊レベルでの総点数が4,364点であることを確定することができた。今後は簿冊に綴られたアイテムレベルでの目録整備にも関係者と連携しつつ調査を進める。一方で、これらは昭和30年代~平成20年代にかけての記録がほとんどであり、本研究が主たる関心としている昭和20年代以前についての記録の大半は欠損していることも判明した。これは1971年に長島愛生園内で発生した火災による影響が甚大なものであったことによる。以上のように、本研究において中核的資料である自治会所蔵資料の調査を進捗させることができた面においては成果を得られた一方で、研究課題を解明するうえでの資料群として対象期の資料を自治会所蔵資料に限らず調査・収集する必要が生じており、資料等の調査対象を拡大する方向である。その一環として、長島愛生園『愛生』編集部担当者の協力を得つつ入所者が作成した記録等・刊行物等の調査を進めたほか、岡山県立記録資料館において昭和20年代の邑久郡内の保健福祉行政に関する刊行物を撮影・収集した。なお、戦前から戦後にかけてのハンセン病療養所自治会活動についての理論的諸問題について検討した学会報告を行ったほか、戦後の分析の前提となる戦時中の療養所に関する実態分析についての学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
covid-19感染拡大防止の観点から、岡山県外での調査を実施することができなかったものの、長島愛生園入所者自治会および歴史館学芸員連携しつつ自治会所蔵資料についての調査を実施して点数を確定する一方で、本研究が主たる関心としている昭和20年代以前についての記録の大半が欠損いることが判明した。本課題の中核的資料である自治会所蔵資料の調査を進捗させることができた面においては成果を得られた一方で、研究課題を解明するうえでの対象期の資料を自治会所蔵資料に限らず調査・収集する必要が生じており、資料等の調査対象をさらに拡大する方向である。
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Strategy for Future Research Activity |
引きつづきcovid-19への感染予防策を講じつつ、長島愛生園等を中心とする調査と調査成果の分析に取り組む。
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Causes of Carryover |
事務補佐員雇用にともなう各種保険等が当初見込額を下回ったため差額が発生したもの。
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