2023 Fiscal Year Research-status Report
植民地初期台湾における開発政策の形成と展開ー総督府と政商の関係性から
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20K22024
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
蒋 允杰 学習院大学, 付置研究所, 助教 (70886530)
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Project Period (FY) |
2023-02-26 – 2025-03-31
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Keywords | 植民地 / 総督府 / 台湾 / 政商 / 朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、令和3年度の11月より中断していた研究を再開した。国内外における最新研究動向の把握や先行研究の整理に重点を置き、活動を行なった。また、コロナ禍で遂行できなかった台湾での現地調査を含め、様々な地域から関連資料を収集した。
1.2023年8月に約10日間、台湾の台北周辺及び高雄にて資料調査を行なった。とりわけ新北市立図書館と中央研究院人文社会図書館では、植民地初期の台湾総督府による専売制度の確立や各地域による塩輸出の実態など、植民地台湾の産業経済に関わる行政資料を閲覧、収集することができた。 2.本研究課題に関連し、11月24~25日の間には台湾・台北大学海山学研究中心の招待を受け、「傳承與創發:王世慶先生與臺灣史研究」國際學術研討會に参加した。同シンポジウムにて、「日本人企業家の植民地経験:賀田金三郎の台湾・朝鮮活動を手がかりに」というテーマで発表するとともに、台湾近代史の研究者と今後の交流について意見交換を行なった。今回発表したテーマは令和6年度に台北大学海山学研究中心が刊行する大会記念論文集へ掲載予定である。 3.2024年3月には、日本人の海外移民を幅広く把握する一環として、和歌山県和歌山市にて資料調査を行なった。和歌山県立文書館においては主に行政資料及び移民資料について調査を行なった。また、和歌山市民図書館においては移民資料室が所蔵する人物関連資料、とりわけ明治期に北米漁業移民を主導した地域民たちの経歴と生活実態について閲覧した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は主に数回の現地調査を通じてこれまで把握できなかった新たな資料を発見することができた。とはいえ、依然として一次史料となるものは数少なく、調査結果の論文化もやや遅れている状況である。実証のための資料収集活動にはより積極的に取り組む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
・九州・中国・四国における郷土資料や行政文書、地域新聞の収集、その解読と分析に尽力する予定である。 ・台湾の研究者と常に連絡を取り合い、共同研究や現地調査のためのアドバイスをもらう。 ・日本・台湾・韓国の近代史関連学会にて研究発表を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
・海外調査に活用できる日数に限りがあったため、論文作成のための充分な調査活動を当初の予定通りに行うことはできなかった。 ・海外投稿論文の翻訳のために計上されていた助成金を使用しきれなかった。 ・そのような状況を踏まえ、次年度は積極的な現地調査と資料収集に助成金を使用する計画である。また、論文原稿を英語や中国語へ翻訳することにも支出を行う。
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