2021 Fiscal Year Annual Research Report
後8世紀から16世紀のペルー中央北海岸における土器様式変容と製作技術交渉
Project/Area Number |
20K22030
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
市木 尚利 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (10876105)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 様式 / 技術交渉 / ワウラ様式 / チャンカイ様式 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始時に新型コロナウィルスの感染拡大によりペルーへの渡航が叶わなかった。そのため、日本国内での文献収集と分析から先行研究の再検討を行った。2018年以前に現地で収集し分析が十分でなかったワウラ様式とチャンカイ様式の実測図資料と製作技法について再検討を行った。特に後者の土器様式については土器分類・図像文様分類・成形及び調整技法の検討を行った。2021年度となっても現地渡航は叶わず国内において文献や未調査であった研究継続となった。しかし、東海大学所蔵アンデス・コレクションの土器に含まれるワウラ様式とチャンカイ様式の真贋裁にかかる調査を契機に、国内ではあるが未調査であった調査対象土器の分析を実施することが可能となった。一般的にアンデス文明のコレクションとされる土器には贋作も多いことが知られてきたが、東海大学所蔵アンデス・コレクションについては一部後世の補修を受けた土器があるとはいえ贋作ではないことが判明した。さらに、土器底部外面に布圧痕をもつ事例があることも明らかになった。そこで、同大学の吉田晃章と粟野若枝の両名との共同研究を実施することができた。土器の肉眼観察のみならずX線CTによる画像撮影と分析を行った。また土器底部の表面にのこる明確な痕跡がある場合にはレプリカを作成し、土器表面そのものとレプリカについてマイクロスコープ及び走査型電子顕微鏡による観察と実体顕微鏡画像撮影を行い詳細な分析を実施し、画像撮影を行った。本研究にあたりオンラインを中心に数度の打ち合わせや定期的研究報告を行い研究状況の進捗や成果を共有した。土器の成形技法についてはこれまでの想定ではなく、X線CT分析の結果から科学的に解明することができた。また、土器に観察される布圧痕を科学的分析を実施した事例報告はなく、実施そのものに大きな意義があった。事例研究であるが織パターンや織技を明らかにすることができた。
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