2021 Fiscal Year Research-status Report
感覚による信念の生成ーベナンにおける精霊マミワタを事例として
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20K22040
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
村津 蘭 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 研究員 (50884285)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 憑依 / マミワタ / アフリカ / ペンテコステ・カリスマ系教会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は現代アフリカの都市部で宗教・民族を超えて広がる精霊信仰を身体と環境の関係から探究するものである。焦点をあてるのは、ベナンの都市の若年層を中心に憑依や夢を通して現出する精霊マミワタであり、都市的環境と身体の相互作用の中で精霊が感じられるようになる過程を明らかにすることで、現代アフリカ都市を生きる若者の身体的現実と信念の形成過程を示し出すことを目指すものである。 2021年度は、2021年2月から3月のベナン渡航で調査を実施すると同時に、先行研究の精査、研究発表、論文執筆を行った。海外渡航では、都市圏で活躍する呪術師に対して聞き取りを実施すると同時に、彼らのSNSを通した活動の調査も行った。またペンテコステ・カリスマ系教会の信者の憑依の経験についても聞き取り調査を行った。これらの調査により、特に都市圏では霊的存在に関わる経験は身体的・物理的空間だけではなく、仮想空間にも及んでいることが明らかになった。 先行研究の精査は、ベナン、アフリカの宗教と宗教における文化人類学の理論的潮流を軸に行った。また、研究発表や議論をアフリカ学会、ASC-TUFS創設5周年記念国際シンポジウムなどで行った。論文執筆については、『文化人類学』で共著での特集を編集した他、『史苑』『ASC-TUFS Working Papers』などの学術雑誌に論文を執筆し掲載した。特に『史苑』では「アフリカの若者の身体」という特集にマミワタを中心に取り上げた論文を寄稿している。その他、『ふらんす』などの一般誌にもベナンの文化についてのエッセイを連載するなどの活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、マミワタに関する儀礼に数ヶ月滞在して調査を行う予定であったが、2020年度がコロナ禍のため海外渡航できず、2021年度においても海外渡航の期間と渡航先での調査にコロナ禍のために様々な制約がかかったため、予定よりも進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はコロナ感染状況を見ながらも、儀礼の参与観察が可能な期間の海外渡航調査を行い、儀礼参加者のライフヒストリーの聞き取りなど渡航制限中にできなかった調査を実施し、遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度コロナ禍で海外渡航ができず、繰越になった分が生じたため。
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