2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K22048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 啓 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40770219)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 国際法 / 金融危機 / 債務再編 / ソブリン債 / 紛争処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル金融危機は、民間企業の経営破綻のみならず主権国家の対外債務(ソブリン債務)の不履行をも引き起こす。それは、金融市場を大きく混乱させるのみならず、債権者による債権回収の試みを招き、債務国による経済再建を阻害する。そこで、事後処理方法である「ソブリン債務再編」のメカニズムを構築することが急務であるものの、議論状況は今なお混沌としている。そこで本研究は、ソブリン債務再編に関する国際法秩序構想についての理論的な方向性を提示し、その現実適合性を実証しようとするものである。実践的な解を模索する本研究は同時に、グローバル・ガバナンスの法的側面に関する理論的な貢献を見込むものでもある。2021年度は、G20が主導する途上国債務減免スキーム(Debt Service Suspension Initiative)に関する小稿を執筆したほか、国際法学会秋季大会にて口頭報告を行い、本研究課題の最大の成果物である英文モノグラフの執筆・編集・校正作業を行った。同書籍はケンブリッジ大学出版局より年内刊行予定である。いずれの研究成果においても、2020年に試みられた2つのソブリン債務再編(アルゼンチン、エクアドル)、ベネズエラ及びベネズエラ国営石油企業の債務不履行問題および米国裁判所における一連の訴訟、投資仲裁廷に付託された2つのソブリン債券関連紛争(Adamakopoulos v. Cyprus, ICSID Case No. ARB/15/49; Gramercy Funds Management v. Peru, UNCITRAL)など、最新の展開を可能な限り織り込むことができた。
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