2021 Fiscal Year Research-status Report
米国における営利的言論の法理の発展と高度情報化社会における意義の再検討
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20K22064
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
秋元 奈穂子 立教大学, 法学部, 准教授 (40517877)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 営利的言論の自由 / 広告規制 / 双方向メディア / 開示規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
連邦レベルにおける広告規制の目的の変容について、20世紀前半における社会背景を前提として、競争法的規制から消費者保護を目的とする規制へと変化したことを、連邦法の立法過程及びその解釈に関する判例の調査を通じて検証した。 20世紀中期~後半における広告規制の手法につき、媒体・手法の規制と内容の規制とに区別したうえで、連邦法による個別具体的分野における規制立法の動向を検証した。広告内容の規制について20世紀中期頃には、パターナリスティックな観点から一定分野における広告そのものや、広告内容を制約する方向での内容制限的規制が増加したが、1970年代における営利的言論の自由の法理の確立を経て、一定の内容の開示を要求する規制に変容したことが明らかとなった。他方、広告手法の規制については、弁護士広告に見られるように、消費者への直接的勧誘を制約する等、脆弱な立場にある消費者に対する広告活動の態様に関する規制は営利的言論の自由の法理の埒外にあるという立場が明確にされた。 現在の多方向メディアにおける規制について、連邦政府は新たな規制方法を未だ見出しておらず、前世紀後半の枠組みを厳格に適用する形での規制手法が、連邦取引委員会によるSNS上のendorsementに関する規律(いわゆるステルスマーケティングの規制)や各州弁護士会によるSNSの使用規制においてみられる。これらの規律の憲法適合性については問題視する見解もあるが、裁判所による判断は未だ確立していない。また、連邦法・州制定法による規制に加え、不法行為法におけるパブリシティ権が一定の役割を果たしており、各種制定法との相互関係を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
判例、論文を中心とした文献調査は予定通り進捗している。 パンデミックにより海外渡航に未だ規制上、事実上の制約があるため、現地調査については実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査の結果を前提としたアメリカにおける現地調査を次年度中に実現したいと考えている。
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Causes of Carryover |
文献調査を中心として実施したところ、学内で利用可能な判例・文献データベースからその多くを入手することができた。パンデミック(後)の世界状況に鑑み、海外渡航にかかる費用が予定より増加する可能性が高いため、当該費用に充てる予定である。
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