2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K22069
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
竹治 ふみ香 同志社女子大学, 現代社会学部, 助教 (10876212)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 相続 / 遺留分 / ドイツ / 相続法 / 財産承継 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、わが国において遺留分を相続開始前に放棄する自由をいかに保障すべきかを研究するものである。ドイツの遺留分放棄契約制度の研究や、放棄契約の適切な決定に関わる議論の分析を行い、示唆を得ることを目的とする。この研究を遂行するために、必要な雑誌および書籍、さらには周辺領域に関する最新の議論の動向を知るためにドイツの最新の文献や判例について調査を行い、その成果を公表した。 遺留分を相続開始前に放棄する契約について、内容規制が必要であるか、ドイツにおいて議論が展開されているところ、これに関する検討・分析を行う論文として、紀要『現代社会フォーラム』(2023年)19号59-72頁に拙稿「ドイツ法における遺留分放棄契約の制限」を公表した。ドイツにおいて,近年では,放棄者が放棄契約を締結することを自律的に判断できない場合があることを問題視し,放棄契約の裁判所による内容規制を主張する見解が現れてきた。 ドイツ法の議論状況を踏まえると,放棄契約については,代償の経済的価値の不足が直ちに反良俗性の決定的な要素となるものではない点が,強調されている。この議論は,終局的には,私的自治の保障のため,真に決定の自由を確保するとはどのような意味なのか,その検討に行きつく。これが侵害されているといえるのはどのような場合であるか,一律の基準を見出すことは難しいが,ハム上級地方裁判所2016年11月8日判決(NJW 2017, 576)の考慮要素が参考になる。 このほか、本年度は、遺言の解釈にまつわる最新の裁判例について検討を行う判例評釈として、『家事法の理論・実務・判例』(2023年)に拙稿「判例解説:東京高判令和3・4・13金判1623号22頁――封筒に記載された文言と遺言の解釈」などを寄稿している。
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Research Products
(2 results)