2020 Fiscal Year Research-status Report
Impacts of Political Party Support Organizations on Parties andParty Systems
Project/Area Number |
20K22077
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
池田 文 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (00880238)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 組織票 / 日本政治 / 政党システム / 選挙 / 利益団体 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度に実施した研究の成果としては、主に以下の三点があげられる。まず、一点目はデータ収集およびデータ整理に関してである。当初、予定していたインタビュー調査などによるデータ収集が、コロナ禍により難しくなったため、それ以外の手法で集められるデータの収集及び、整理を行い、研究に必要となるデータセットの構築がほぼ完了した。これらのデータに加え、サーベイ実験を行い、今後、分析を行う新たなデータを得ることができた。データが完成したことにより、政党システム、利益団体、組織票について、以前より行っていた定性的な分析に加え、定量的な分析を行うことが可能となった。 二点目としては、労働組合の組織票とそのメカニズムについて分析を行った点が挙げられる。労働組合の中でも総評系の労働組合に焦点をあて、その集票メカニズムが、すでに分析を行っている同盟系の労働組合とどのように異なるのか、そして、なぜ集票メカニズムが異なるのかについて分析を行った。総評系と同盟系の両方のメカニズムが明らかになったことで、より体系的に労働組合と政党、そして、労働組合が政党システムに与える影響に関する知見が得られた。 三点目としては、完成したデータセットを用い、自民党及び野党の組織票に関する計量分析を行い、より理論的発展に寄与できる知見を得られたことが挙げられる。自民党と野党の支援組織の組織票が選挙の結果に与える影響、ひいては、政党システム全体に与える影響に関する知見を得ることができた。二点目および三点目の本年行った研究に関しては、論文を執筆し、投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。しかしながら、当初、予定していたインタビュー調査など、現在のコロナ禍において実施することが難しくなっている研究計画、そして、実施が遅れているサーベイ実験もあるため、その点については研究の方法論やスケジュールなどを再考し、改善点を見つけ今後につなげていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、サーベイ実験とアグリゲートデータ分析の両方を用い、より体系的に政党システム、利益団体、組織票について明らかにしていくことが主な目標である。具体的には、すでに行っているサーベイ実験の分析を行い、その結果に関する論文を執筆する。また、今後もサーベイ実験を行い、新たなデータを収集する予定としている。インタビュー調査に関しても、可能な手法を用いて実施していく予定としている。そして、完成したデータセット、サーベイ実験、インタビューなどの定性的な研究で得られた知見を総合し、理論的に貢献できる論文執筆を目指す。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じだ状況としては、まず、インタビュー調査及び現地調査を日本国内で行う予定であったが、コロナ禍でこれらの調査の実施が困難になったためである。そのことにより旅費、人件費、謝礼金等が発生しなかった。そしてまた、行う予定であったサーベイ実験の実施が遅れ、当該年度に出費ができなかったことが挙げられる。 これらの点を踏まえ、インタビュー調査及び現地調査の実現可能性について再考し、困難であると判断した場合、これらと異なる方法、例えば、サーベイを行うなどし、研究を行う予定としている。また、実施が遅れているサーベイ実験に関しては、準備が整い次第、着手する予定としている。
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