2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22079
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安中 進 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (80880202)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 福祉国家 / 格差 / 付加価値税 / サーヴェイ実験 / 世論調査 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
概ね予定通りに実施しており、いくつか研究の成果が上がってきている。日本の消費増税をめぐってサーヴェイ実験行った研究に関しては、すでに1本論文『福祉国家に対する態度決定要因としての社会保障の普遍性と消費税の逆進性 ―サーヴェイ実験による検討―』(鈴木淳平・加藤言人との共著)が仕上がり、ワーキングペーパーを発行した(WIAS Discussion Paper No.2020-007)。この論文は現在投稿中である。 観察データを利用した研究もすでに論文(同じく加藤言人・鈴木淳平との共著)の執筆にとりかかっており、完成次第ワーキングペーパー等を発行し、投稿する。こちらは英語の論文である。また、同時並行的に、学会報告等も視野に入れて論文の質を高めていく。 これらのメインとなる研究の他では、COVID-19に対して政治体制やガヴァナンスなどが与える影響を各国のデータを用いて国際比較する分析を行っており、これらも日本比較政治学会を含む複数の学会や会議での報告を行い、論文も執筆した(The Truth and Myth of the Advantages of Authoritarian Countries to COVID-19, APSA preprint)。この論文は改訂後再投稿になっている。加えて、世界中の世論調査データを利用したマスクの使用に関する研究も行い論文を執筆した(Public Awareness of Mask Usage in 29 Countries, medRxiv)。この論文は、複数執筆者による英語単行本の1章として収録される予定となっている。 さらには、新たに日本国内の社会保障に関するデータを収集中であり、この研究もデータの収集が終了次第、分析を行い、新たな論文の執筆を行いたいと考えている。 これらの研究は人々の生命や健康と深く関わっており、重要な研究だといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
元々計画していた研究を着実に実施しているとともに、複数の論文の執筆、学会報告等を精力的に行っており、当初の計画以上に進展しているといえる。投稿段階にある論文も複数あり、研究成果は着実に上がっている。さらには、元々予定していた研究を順調に進めているのと同時に、社会福祉や公衆衛生に強い影響をもたらすCOVID-19の拡大による社会的な要請に応えるため、対象を広めた研究も追加的に行っており、こうした研究においても、すでに複数の研究成果を報告できる状況にあるか、近いうちに報告できる状況にある(たとえば、「COVID-19死亡者数の要因国際比較分析」『公共選択』)。複数共著者が含まれる研究も実施しているため、完全に自らのペースのみで研究を実施できるわけではないが、そうした問題の可能性を踏まえた上でも、十分に計画した範囲の内容を実施していると考えられる。複数の学会出張等の予定はCOVID-19の影響によりキャンセルとなっているが、オンライン開催などの充実等もあり、これらへも積極的に参加しており、研究者間での情報交換・交流等には大きな支障はないと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、複数の論文を投稿、もしくは執筆している状態にあり、これらの改訂、再投稿等を行いつつ、さらには、新たな研究も始めているため、これらの時間配分を調整しながら同時並行的に進めていく予定である。 追加的に新たなサーヴェイ実験の実施なども視野に入れつつ、今後も元々の研究計画を着実に遂行すると同時に、可能な範囲で計画以上の研究成果を上げたいと考えている。 考えられる課題としては、複数研究者を含む論文に関しては、共著者のスケジュールも考慮に入れる必要があるが、現在までのところは順調に進んでおり、少なくとも元々の計画が達成されないような状態になることは予想されない。今後も互いのスケジュールを調整しつつ着々と進行していく。 こうして得られた研究の成果を査読付き論文として公表していくのが中心的な作業となるが、それと同時に、日本語・英語両言語による本の出版も目指して、社会に広く関心を得られるよう研究を進めていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
歴史的データを収集するための機材(OCR)等を必要としないデータ収集方法を模索していたため、機材購入等への支出が前年度は予定より少なくなった。また、旅費の支出がなかったことなどが主な理由だと考えられる。しかしながら、結局機材等は必要と判明し、これらは年度明けに新たに購入している。これは後ずれして新年度予算に計上される。また、出張等も順次再開されれば、これらへの支出にも充てられる。
|