2020 Fiscal Year Research-status Report
Indigenous movement in Uruguay
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20K22080
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
中沢 知史 南山大学, 外国語学部, 講師 (20882541)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ラテンアメリカ / 先住民 / 植民地主義 / 歴史的記憶の回復 / ジェノサイド / 可視化 / 白色国民国家 / ウルグアイ |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目の2020年度は、以下の業績をあげることができた。 【学会全国大会での口頭発表(査読付)】研究実施計画のとおり、2020年度日本平和学会秋季研究集会(2020年11月6日)において、「「インディオのいない国」ウルグアイにおける先住民の可視化と歴史的記憶回復の試み」と題して単独で口頭発表を行った。日本平和学会の研究集会における単独発表は、事前のサマリー提出、審査により承認を得て初めて行うことができる性質のものであり、さらに、発表に際しフルペーパーの提出が求められる。本発表はこうした条件をクリアして行われたものであり、参加者から有益なコメント、助言を多く受けることができた。 【事典項目の執筆】『ラテンアメリカ文化事典』(ラテンアメリカ文化事典編集委員会編、丸善出版、2021年1月刊)の付録、各国情報のうち、「ウルグアイ東方共和国」を担当した。本件科研費助成で実施した研究の成果を盛り込むことができた。 【一般向け概説書への寄稿】日本では初めてとなるウルグアイに関する概説書(2021年中刊行準備中、編集・校正作業中)に、「先住民」「マテ茶」「ホセ・ムヒカ」「地方都市の諸相①②」を寄稿した。特に「先住民」の章に本件科研費助成で実施した研究の成果を数多く盛り込むことができ、一般向けの平易な概説書でありつつも学術的な価値も加えることができた。 【メディアからの取材】【こちら特報部】中沢佳子、石井紀代美「「世界一貧しい大統領」政界引退発表 ムヒカさん」東京新聞、2020年10月24日。テーマは異なるものの、本件科研費助成で実施した研究の成果を部分的に活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載のとおり、研究実施計画において予定していた、学会全国大会における単独口頭発表を査読を経て実施することができ、国内の隣接するテーマや研究対象を有する研究者と情報・意見交換を行ったことで、研究に進展があった。また、本件科研費助成に直接かかわるテーマで複数の文章を発表することができ、研究に弾みがついた。ウルグアイ現地との電子メールやSNSを介したやり取りも継続しており、研究はおおむね順調に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はウルグアイ現地での調査を予定しているが、研究実施計画策定時当初の想定から大きくはずれたのが、ウルグアイ現地及び日本での新型コロナウイルス向けワクチンの接種状況である。現状、ウルグアイへの渡航は、ウルグアイと日本両方でのワクチン普及による感染の減少等が条件となるであろうが、かかる条件が満たされる時期の見通しが不透明な情勢が続いている。また、海外の国際学会への参加も同様に不確実な状況にあり、参加を予定していた学会の延期が決まるなど、渡航可能性は依然流動的である。さらに、海外からの文献等資料の取り寄せも、通常時よりも時間がかかっている。 以上の状況を踏まえ、すでに2020年度から実行しているが、ネット会議やSNS、電子資料など、オンラインで代替できる部分については積極的にさまざまなツールを利用して研究を推進していく。具体的には、現地調査の準備をしつつ、インタビュー調査をネット会議システムを利用して行う、オンライン開催に切り替えた国際学会に参加する、サブスクリプション制の電子資料を利用する、映像資料の翻訳紹介などの方策をとっていく予定である。
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Causes of Carryover |
まず、R2年度に計上していた国内学会参加にかかる費用が、新型コロナウイルス流行で中止ないしオンライン開催に切り替わったため、支出を要しなかった。また、国外から取り寄せる予定であった文献等研究に必要な資料が、コロナ禍による物流の停滞により、発注から入手までに膨大な時間がかかる、または途中ロストのリスクが高まったため入手困難になった。さらに、コロナ禍の影響で新たに利用可能となった電子媒体の幅が広がり、印刷関連の費用が低くなった。 目下、物流が通常の状態に復しつつあることから、前年度にいったん断念した資料の入手が順次可能になっている。これに伴い、資料を整理保存し活用するための複写やスキャン、印刷作業が発生するため、今年度に計上している分と合わせて着実に執行できる見込みである。
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Remarks |
https://researchmap.jp/tomofuminakazawa
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Research Products
(3 results)