2020 Fiscal Year Research-status Report
トルコにおける都市難民の社会統合と流動性に関する研究
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20K22082
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 滋之 武庫川女子大学, 食物栄養科学部, 准教授 (60884608)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | シリア難民 / 都市難民 / 非正規移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、2020年度に予定していた現地準備調査の実行は見送りとなり、研究は主に文献ベースのものとなった。幸いにしてトルコ都市難民に関する外国文献の発表が続き、情報の収集と現地状況の理解は一定程度の進捗があった。 トルコに関するシリア難民の流動性に関しては、現地研究者による現在進行中の大規模調査の中途段階での集計を知ることが出来た。アンカラ・イドゥリム・バヤジット大学の研究者を中心に行われているその調査の中間発表によると、2020年段階でトルコに滞在するシリア難民が、トルコを超えてEU諸国を目指そうとする動きは2015年時点に比べて大変に小さくなっている。現地調査が難しい今日の状況において、この研究結果の分析によって難民の流動性に関する実情の調査がかなりの部分で代替することが可能と考える。 一方で、2015年時点と比較してシリア難民の流動性が低下した原因は多面的に分析されなければならない。その意味では、現地で都市に滞在するシリア難民の質的調査の必要性は依然として高い。2021年度の状況も引き続き不透明であるが、年度後半に現地調査を行う可能性は依然として追及していく必要がある。 現地の研究パートナーとの関係構築に関しては、2020年度に目立った進捗がなかった。予定していた研究協力者がトルコを去ってしまったことや、現地の状況が新型コロナによって混乱しており、新規のパートナーを開拓し研究への協力を求められる状況ではなかった。研究を進める上では現地での研究協力者の新規開拓は早急に行う必要があり、優先度の高い課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画では2020年度にトルコでの事前調査、2021年度に本調査を行うことになっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う状況の中で、2020年度の事前調査は実施することが出来なかった。またこの状況の中で現地の日本人研究協力者も日本に帰国してしまい、新たな研究協力者を開拓する必要が生じた。新型コロナウイルス感染拡大による影響は中長期的に続くことが予想され、申請時に提出した研究方法は大幅な見直しが必要となることは必至であるが、新たな研究方法の模索を続けている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
アンカラ・イドゥリム・バヤジット大学の研究者を中心に行われているトルコ在住のシリア難民に関する実地調査の成果は、シリア難民が以前ほど高い流動性を示していないことを示している。この調査の成果を可能な限り分析し、流動性の低下をもたらした要因を探ることを行う。 現地調査の実現可能性の模索を続けるものの、いつ、どのような規模や方法で現地調査を行うことが出来るのか不透明な現状において、二次的資料による研究を深める必要がある。また、現地調査が実現困難な場合に備えて、インターネットを利用したリモート調査の準備を進める必要がある。2021年度半ばまでに現地調査の実現の可能性が見えない場合は、代替的なリモート調査の実施を積極的に検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた現地予備調査が新型コロナウイルス感染拡大の影響により実現不可能となり、それに伴って旅費および現地調査に備えて定していた物品の購入による出費をすべて見送った。2021年度において現地本調査と分けて現地予備調査を行うことが可能であれば2020年度に使用するはずだった費用(旅費など)を充てたい。また、その際には2020年度に購入を見送った機材の購入も併せて行いたいと考えている。
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