2022 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会での年金の持続性に関してー家計の観点を考慮した場合
Project/Area Number |
20K22084
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小寺 寛彰 東北大学, 経済学研究科, 講師 (60881828)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 年金システムの維持 / 高齢化 / 補助的年金制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカには、配偶者年金制度と遺族者年金制度がある。これらの制度で、主に結婚を機に働くことを辞めた女性に年金が補填される。本研究は、この二つの補助的年金制度の、進行する高齢化での年金システムの維持へのインパクトを分析した。 メインの結果は、細かな修正を行ったものの、昨年度に達成された研究結果と大きく変わらなかった。また、本年度は年金制度改革(年金受給開始年齢の引き上げ)を考慮した場合のシミュレーション分析に関して、修正を一つ加えた。アメリカの現在の年金受給開始年齢は66歳であるが、1960年生まれ以降に対しては、年金受給開始年齢を67歳までに引き上げることが既に発表されている。年金受給開始年齢を引き上げれば、政府の年金負担が減ることになるため、補助金年金制度のインパクトは弱まることが予想される。そのことを確認するために、2060年のアメリカ経済では年金受給開始年齢を69歳まで引き上げることを仮定し、シミュ―レーションを行った。69歳と設定したのは、年金受給開始年齢が66歳であった期間は16年であったため、同様なペースで年齢を引き上げると仮定すれば、2060年には69歳まで引き上げられると予測されるためである。この短期的な効果をを求めるにあたり、昨年度の場合は、突如、年金受給開始年齢を69歳までに引き上げると仮定したが、今回は、16年ずつ年金受給開始年齢が1歳ずつ引き上げると仮定した。これにより、現実のアメリカ経済をより反映したシミュレーションとなる。 シミュレーション分析の結果、年金システムの維持のための現役世代への追加的な税負担や経済厚生への影響は多少変わるものの、補助金年金制度のインパクトは、変わらず大きいことが分かった。したがって、高齢化での年金システムの維持へのインパクトに関して、補助金年金制度は重要な役割を持つことが改めて強調された。
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Research Products
(5 results)