2023 Fiscal Year Research-status Report
家族コミュニティにおける利他主義に関する研究:行動経済学的アプローチ
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20K22098
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Research Institution | The University of Nagano |
Principal Investigator |
周 梦媛 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 講師 (00880212)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Keywords | 遺贈動機 / 心理会計 / 遺産ソース / 利他性 |
Outline of Annual Research Achievements |
伝統的経済学では「お金に色はついていない」、金銭はFungibilityという性質を持つと考えた。しかし、両親と義理の両親からの遺産・生前贈与を受け、日本人の男性と女性が子供と配偶者に対する遺贈態度(できるだけ多くの遺産を残したい)はどうのように影響するかを検証した結果、遺産ソース(Source of inheritance)により、異る遺贈態度を持つことが示唆された(Zhou, 2021)。これは心理会計の視点から説明できた。 本研究はZhou (2021)のBloodline-based Family Traditionモデルに基づき、遺産ソースが子供への遺贈動機(Bequest motives)に影響するか否かを検証した。2012年の大阪大学の「くらしの好みと満足度についてのアンケート」から「あなたはお子さんに残す遺産についてどのようにお考えですか。」の質問を利用し、無条件の遺贈動機は利他的な動機、条件付き遺贈動機(Strategic bequest motive)と偶発的な遺贈動機は利己的な動機として分類さらた (Horioka(2014)の分類法を使用した)。実証分析によると、自分の両親から贈与を受けた場合、子供に対する利他的な遺贈動機も持つ傾向が見られたが、義理の両親から贈与を受けた場合、そのような傾向が見られなかった。両親と義理の両親から受け取った遺産・生前贈与はそれぞれ狭い勘定項目を設定され、Zhou (2021)で論じたようにBloodline-based遺贈態度・動機が示唆された。3世代における家族の伝統的な遺贈態度・動機も観察された。 Horioka, C. Y. (2014). Are Americans and Indians more altruistic than the Japanese and Chinese? Evidence from a new international survey of bequest plans. Review of Economics of the Household, 12(3), 411-437. Zhou, M. (2021). Does the Source of Inheritance Matter in Bequest Attitudes? Evidence from Japan. Journal of Family and Economic Issues, 1-21.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1)前回のBloodline-based Family Traditionモデルに相続税を加えた研究について、実証結果を得たが、理論モデルはまだ弱点があり、スムーズに進めなかった。 2)今回の研究も実証結果があり、理論モデルはまだ修正・改善すべきところがある。 3)職場の移動があり、教育に尽力し、講義の準備のために力を入れた。
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Strategy for Future Research Activity |
Zhou (2021)の研究結果はロバストがある根拠を示す遺産ソースが子供への遺贈動機の研究を主要なタスクとする。実証分析で両親と義理の両親から受け取った遺産・生前贈与の有無のダミー変数を利用したことは理論モデルと一致しないことが欠点である。ここは難航で、他の理論モデルを利用する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:1)最初の2年間、新型コロナウィルスの影響により海外で学会報告する事ができなかったため、当初予定していた旅費の支出がなくなり、次年度使用額が生じた。2)新たな論文の理論モデル部分の進捗が遅れて、英文校正の支出も延期した。 使用計画:論文の英文校正として使用予定である。
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