2021 Fiscal Year Research-status Report
The Effect of the 2015 Revision to the Corporate Governance Code on Japanese Listed Firms
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20K22100
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柳田 具孝 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (40876249)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | コーポレート・ガバナンス・コード / ソフトロー / 社外取締役 / 取締役構成 / ファミリー企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
東証1部・2部に上場する株式会社に独立社外取締役を2人以上選任することを原則とした平成26年コーポレート・ガバナンス・コード(CGコード)について上場企業の社外取締役比率を上昇させたことが明らかとなっている。本年度は社外取締役を増加させた平成26年CGコードが企業業績に与えた影響を追加分析した。これについて3つの仮設がある。まず制度を通した社外取締役の増加は企業業績に影響を与えないとするwindow-dressing仮説である。次に経営者は取締役会構成に関する新制度を無視できないため、効果的な監視を行う社外取締役を任命し企業業績に寄与するというentrenchment仮説である。最後に企業に社外取締役数を増やすよう強制することが最適な取締役会構成とならず、企業業績が悪化するというoptimization仮説である。追加分析からどの仮説が指示されるか興味深い。結果として社外取締役が企業の将来業績に有意に影響を与えた証拠は得られなかった。そのため社外取締役について平成26年CGコードは実質よりも形式を重視したwindow-dressingだと言い得る。さらに結果の頑健性を確認するためサンプル数を拡大したが結果は変わらなかった。企業にとって社外取締役の人材確保が困難である現状からすれば、人材確保・報酬といった上場コストも相当増大している。分析の結果からすれば社外取締役がそのような上場コストに見合うか疑問であると結論付けた。また社外取締役設置を義務付ける令和元年会社法改正や平成30年(2018年)にコーポレートガバナンス・コードの改訂との整合性についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データセットの構築に時間を要したが、概ね必要な分析は実施できた。研究成果を海外英文ジャーナルに投稿しており現在は査読対応中である。
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Strategy for Future Research Activity |
上場企業の社外取締役の人選に近年ユニークな特性があることが判明し、今後、原因・効果を分析する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染状況のため学会参加旅費が不要となった。海外ジャーナルの追加的な投稿料・英文校閲費に使用したい。
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