2020 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Analysis of HIV Prevention Behaviours and Free Provision Policies of ART and Condoms in Botswana
Project/Area Number |
20K22107
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
永島 優 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (70880277)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | HIV/AIDS / 抗レトロウイルス治療薬 / 感染予防 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、HIV感染率が世界4位のボツワナで、2002年から実施された治療無償化政策が、未感染者の感染予防行動に与えた影響をデータから分析するというプロジェクトである。初年度である2020年度には、(1)倫理承認、(2)データ整理、(3)基礎的分析を行う予定であった。(1)倫理承認について、ボツワナ保健省・所属機関両方において倫理承認を取得した。しかし、後述の理由により、研究計画に変更が生じる可能性があり、再承認の必要がある可能性がある。(2)本研究に必要なデータは、(a)ボツワナの医療機関におけるAIDS治療薬の提供状況データ、(b)ボツワナの医療機関の位置データ、(c)HIV感染状況を含む社会経済データ、(d)社会経済データの地理データである。このうち、(a)医療機関の治療提供状況と(b)位置データは受領済みであり、2000年代~2010年代前半の各医療機関における無償治療提供状況のデータのコンパイルが完了した。加えて、位置データとの結合も終了し、どの時期にどの程度治療提供体制が拡充していったかを地図上で把握することができるようになった。さらに、匿名化の上公開されている(c)社会経済データも合わせて整理を終えた。しかし、後述のとおり、(d)社会経済データの地理情報の提供元であるボツワナ統計局の関係部局が、コロナ禍の影響を多分に受けており、未提供となっている。そのため、医療機関データと社会経済データの結合が完了しておらず、(3)基礎的分析は次年度以降に持ち越しとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は研究計画に比較して遅れているという評価とした。主な理由は2つである。1つは、先述の通り、社会経済データの位置情報が統計局から未提供であり、現在までのところ提供の見通しが立っていないことである。研究方法は変更せずに他のデータで補完的な分析を行うことで対処するか、研究計画を変更してできる範囲で分析を続けるか、他の研究者と相談している。もう1つは、2020年度にフィールド調査を実施して収集を計画していたデータが集められていないことである。ボツワナでは2002年以降にAIDS治療の無償提供を開始したが、2005年以降コンドームの無償配布政策も開始しており、これも感染予防行動に影響を与えた可能性がある。後者について、研究協力機関のデータでは全容が把握できないため、独自のフィールド調査で情報収集を検討していたが、コロナ禍により計画も渡航もできなかった。これらの事情により、データの整理と基礎的分析が完了していないため、本研究を遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
社会経済データの提供遅れについて、研究方法は変更せずに他のデータで補完的な分析を行うことで対処するか、研究計画を変更してできる範囲で分析を続けるか、他の研究者と相談している。いずれの場合も、研究計画の変更が生じることには変わりがなく、倫理承認で再審査する必要があり、方針を決定次第早い段階で倫理承認の再申請を行い、分析を再開したい。コンドームの無償配布に関するフィールド調査は、日本政府の新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種関連政策にもよるが、渡航はできないことを前提に、ボツワナの調査機関にリモートでの調査が可能か検討している。これらを決定の上、研究最終年度にできるところまでを成果としてまとめられるよう、分析作業を急ぐ予定である。
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Causes of Carryover |
最も端的な理由は、コロナ禍により海外渡航が制限され、フィールド調査が実施できなかったこと、海外学会に参加できなかったことである。今後の使用にあたっては、現在の制限が今後も続くという前提のもと、リモートで調査ができるかどうかを検討している。
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