2020 Fiscal Year Research-status Report
金利の期間構造の形状変化と外国為替レートの関係の解明
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20K22109
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
石井 北斗 中京大学, 総合政策学部, 助教(テニュア) (00880006)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 国際金融 / 外国為替レート / イールドカーブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二国間のイールドカーブから抽出した情報を利用して、将来の外国為替レートの変動を説明するための実証分析を行う。国際金融市場の発展に伴い、外国為替の取引量は増加し、経済活動の中で外国為替レートは重要な役割を担っている。外国為替レートの決定に関する理論や実証分析は古くから行われてきたが、イールドカーブと関連付けた研究は2010年以降から報告されるようになり、イールドカーブと外国為替レートとの関係を分析した研究の蓄積は少ない。本研究では、二国間のイールドカーブから相対的なイールドカーブ・ファクターを抽出するための方法を提案した上で、イールドカーブと外国為替レートとの関係を明らかにすることが目的である。 今年度は、二国間のイールドカーブと将来の外国為替レートとの関係についての実証分析を行うための研究動向の調査、文献整理及びデータの取得を行った。当該分野において代表的な研究であるChen and Tsang (2013) が考えている金利期間構造モデルをベースとした計量的な手法に基づいたファクター抽出方法に対して、本研究ではイールドカーブを構成するファクターについての実証的な代理変数を考えることで二国間のイールドカーブから情報抽出を行った。 今後は、本研究の方法を利用して抽出した二国間のイールドカーブ・ファクターが将来の外国為替レートに説明力を有するかについての分析を行う。取得データの都合上、分析対象の国は、米国、日本、英国、カナダとする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究とは異なった方法で二国間のイールドカーブから情報抽出を行うための方法が完成した。現在は実証分析を実行中であり、分析結果が整い次第、論文を完成させて学術雑誌に投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究では、先行研究と同様に二国間のイールドカーブ情報を三つの相対的なファクターに集約することを考えている。これらの方法で抽出したイールドカーブ・ファクターは、各国固有の情報に識別することができない。今後は、この点について制約を緩和した分析方法及びモデルを考える必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、学会への参加を見送り、旅費支出が生じなかったため。翌年度の助成金は、英文校正といった論文執筆に関係する経費や学会報告のための旅費として利用する予定である。
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