2022 Fiscal Year Annual Research Report
Implementation problems with irrational agents under the repeated setting
Project/Area Number |
20K22110
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
萩原 誠 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (20875116)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | ソロモン王のジレンマ / 制度設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は,遂行問題に関して非合理的な個人が存在することを考慮し,より現実に近い状況で研究することである. まず遂行問題に関して簡単に述べる.制度設計者は,ある社会目標を達成しようと考えている.しかし,制度設計者は各個人の選好を観察することができない.そこで,制度設計者は各個人の申告できるメッセージを定義し,また申告されたメッセージをもとにどのように帰結を選ぶかを定義する.この方法を「メカニズム」と呼ぶ.制度設計者は各個人がある均衡概念に従って行動すると考える.制度設計者は,各選好の組に対して,その均衡概念のもとで得られる結果の集合が社会的に望ましい帰結の集合と等しくなることを目指す.これを,社会目標を「均衡概念のもとで遂行する」と呼ぶ. 目的達成のため,以下2つの研究を進めた. 1つ目は,各個人が他人の選好などの情報を持たない不完備情報ゲームにおいて,ある2つの均衡概念でどのような社会目標が遂行可能であるか研究を行なった.この研究に関する論文を査読付国際学術雑誌The BE Journal of Theoretical Economicsへ投稿し,査読者から頂いたコメントをもとに改訂を進め,2022年9月に採択された. 2つ目は,ソロモン王のジレンマという非分割財配分問題に関する研究を進めた.この研究は,従来のソロモン王のジレンマに関する理論研究では考慮してこなかった「非合理的な個人の存在」について考え,その観点から実験室実験によりメカニズムを比較する研究を行った.ただし,この研究は当該年度に実験を行ったのではなく,当該年度はデータ分析・改訂などを中心に進めた.この研究に関する論文を査読付国際学術雑誌Review of Economic Designへ投稿し,査読者から頂いたコメントをもとに共著者と相談しながら改訂を進め,2023年2月に採択された.
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