2020 Fiscal Year Research-status Report
公的部門の雇用量・賃金水準が経済成長・社会厚生に与える影響に関する研究
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20K22113
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
秋本 清香 福岡大学, 経済学部, 講師 (30882485)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 公的部門 / 賃金 / 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究は以下の2つにまとめられる。 (1)公的部門の雇用と賃金の特徴を説明できるモデルの構築に取り組んだ。実証研究は、公的部門において教育水準による雇用の偏りと賃金プレミアムが存在することを明らかにしている。また、私的部門に比べて、教育・技能水準のミスマッチが起きており、労働者の教育・技能水準という人的資本の配分が効率的ではないことも示唆されている。本研究では、このような特徴を説明できる世代重複モデルを構築した。 (2)公的部門と私的部門の賃金差と汚職、経済発展に関する研究“Public-Private Sector Wage Gap in a Macroeconomic Model”を国際学術雑誌に投稿した。改訂要求を受けたため、論文の加筆修正を行った。データや実証研究は、途上国では、公的部門の賃金のほうが私的部門の賃金より高く、汚職が多い一方、先進国では、賃金差はなく、汚職は少ないことを示している。本研究は、これらの結果を説明できるモデルを構築し、そのメカニズムを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、「研究実績の概要」の(1)の研究結果を論文にまとめ、国内学会や国際学会で発表する予定であった。しかし、理論モデルの構築に想定より多くの時間を費やしたため、予定していた学会で報告することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究結果を論文にまとめ、研究会や学会で報告し、研究の改善に努める。その後、構築した理論モデルを用いて、公的部門の雇用量・賃金水準が経済全体に与える影響を明らかにする。また、最適な水準についても議論を行う。
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Causes of Carryover |
次年度利用額が生じた理由は、大学の研究室で使用するパソコンやプリンターなどを購入予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、リモートワークに移行し、予定した機器を購入しなかったため。また、感染拡大で、研究打ち合わせや学会が中止、もしくは、リモートでの開催になり、旅費を使わなかったため。 今後は感染症の収束状況に応じて、必要な機器の購入や学会への参加を行う。
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