2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of the Effectiveness of an Intervention Experiment with Health Promotion Using ICT Devices in Japan
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20K22114
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡庭 英重 東北大学, 経済学研究科, 助教 (60881836)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ヘルスプロモーション / 健康介入 / ランダム化比較実験 / 行動経済学 / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)を活用した健康介入システムの有効性を検証し,その効果を最大化するための条件を解明することである。本分野においては,個々の技術をどのように組み合わせ,取得した健康情報をどのようにフィードバックすれば,人々の健康増進行動を促進・継続させることができるのかについての検討が不足している。 当該年度は,次年度に行う介入実験の事前準備として,被験者のサンプリングにおける課題の整理や実験手法の検討,関係機関との調整など本研究の基盤構築を進めた。本研究に先立って実施した予備実験の結果から,サンプリング手法の大幅な改善の必要性,アウトカム指標として設定すべき健康指標に関する再検討,事前収集すべき被験者の基礎データの整理,介入者に求められる技術等,介入実験を進めるうえでの主要な課題を整理した。加えて,医学・疫学・工学分野の研究者との意見交換を踏まえ,今後活用可能な新しい介入技術に関する知見を収集し,実験手法に関する再検討を行った。特に,近年実用化が進んでいるテキスト音声合成技術の活用可能性についても、市販のソフトを試用し検証した。また、行動経済学分野の健康介入に関わる既存研究の調査を行い、これまでの知見を整理したうえで、被験者の選好に応じた具体的な介入方法の検討を進めた。これらの事前準備の成果は、次年度の介入実験に具体的に活用されるほか、今後ワーキングペーパーとしてもまとめる予定がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大により、使用するデバイスを決定するためのテスト運用や介入者に対する介入指導など、関係者との調整が必要な活動の一部を実施できなかったことが直接の理由である。これらの事前設計は本研究において最も重要かつ不可欠なプロセスであることから、当該年度末に予定していた介入実験の開始に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は今後,ランダムサンプリングによって被験者を抽出し、各人が持つ選好について予め十分な調査を行ったうえで実験を開始する予定である。なお、新型コロナウィルスの収束状況によっては,人間による直接的介入に代えて,テキスト音声合成技術を活用したバーチャルな介入を検討することも視野に入れている。現状の社会活動制約の中で,従来の「病院で,発病後に,医師の介入によって行われる健康生産」から,「自宅で,未病の状態から(予防的に),個人が自発的に行う健康生産」への転換を促すような研究として発展させていくことを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当該年度末に予定していた実験開始が遅れたことによる。翌年度分として請求した助成金は,次年度使用額と合わせて,主に介入実験の人件費(被験者への謝金、介入者の雇用経費)や消耗品費(使用機器の購入)、委託費(システム保守運用)、研究成果報告のための経費として使用するものである。
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