2021 Fiscal Year Annual Research Report
Index development from the perspective of product concept for improving emotional value and evaluation of impact on purchasing behavior
Project/Area Number |
20K22115
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加藤 拓巳 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 講師 (90882225)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ブランドコンセプト / コンセプト想起 / ロイヤルティ / 解釈レベル理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
表面的な性能やデザインに価値を感じている消費者は,より高い性能,より優れたデザインを持ったブランドが出現した際に,すぐに心変わりしてしまう懸念がある.一方で,ロイヤルティの高い消費者は,ブランドの本質であるコンセプトを理解し,共感し,そこに価値を感じている.コンセプトの重要性は長らく認識されているにもかかわらず,産業界・学術界ともに,ブランドロイヤルティの要因評価としては,性能やデザイン等の具体的特徴を扱うことが一般的である.その理由として,コンセプトを定量的に評価する方法とその効果に関する議論が驚くほど少ない現状がある.そこで,本研究では,商品としてはApple MacBook Pro, Dyson Canister Vacuum Cleaner, Nintendo Switch,サービスとしてはFacebook, Starbucks, Tokyo Disney Resortなどを対象として,以下3点を明らかにした. (1)ブランドの魅力を問われた際,具体的特徴よりも,コンセプトを想起する消費者の方が高いロイヤルティ(再購入意向,支払意思額)を有することを明らかにした (2)コンセプト想起の聴取方法として,助成想起と純粋想起の双方での測定方法と,その有効性を実証した (3)商品・サービスの利用経験が増えると,解釈レベルが低次になり,本質的特徴よりも具体的特徴に目が向きやすくなるという解釈レベル理論に新たにロイヤルティの視点を導入し,ロイヤルティの高い消費者は,ブランドの利用頻度が高くても,高次の解釈レベルを保ち,商品・サービスの魅力としてコンセプトを想起することを示した. 消費者のロイヤルティを獲得するには,コンセプトの共感を得ることが最も重要である.コンセプトという目的が曖昧では,どれだけ優れた技術やデザインを活用しても,商品・サービスに一貫性が生まれず,効果を十分に発揮できない.手段の目的化に陥らないためにも,コンセプト想起という提案指標は,意思決定を支える重要な役割を果たすと期待できる.
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