2022 Fiscal Year Annual Research Report
Incentivising village heads for public goods management: A Field Experiment in Rural Zambia
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20K22119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 憲 京都大学, 農学研究科, 助教 (00876097)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 伝統的権威 / 信頼 / 多民族 / 共同体 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ザンビア農村部における公共財の共同体管理の実態を例に、公共財の不十分な管理の要因とそれへの対処策を、フィールド実験の手法を援用して実証的に探究することで、経済学の視点から開発現場に貢献することであった。特に、共同体のリーダーである首長あるいは村長の役割の解明、および、彼らの行動を梃に共同体内の協調行動を促す施策の提案、を具体的な目的として設定した。そのため、研究計画ではフィールド実験を伴う現地調査をザンビア北部カッパーベルト州の農村を対象に実施する予定であった。しかし世界的な新型コロナウィルス感染症の流行により、2020・2021年度同様に2022年度もザンビアにおける現地調査の実施が叶わなかった。
ただし最終年度は、当初の研究対象国であったザンビア共和国の隣に位置するマラウィ共和国で家計調査を委託契約により実施することで、地元農民の伝統的権威に対する信頼度や評価を計測することができた。本調査は、SC Marvwere地区より8村とTA Mkanda地区より12村、計15ヵ村から20家計ずつ無作為抽出した300家計を対象に、2022年11月と2023年3月の二度にわたり実施し、同一家計を追跡した。簡単な描写的分析から、(1) 伝統的権威への信頼度や評価について季節性があること、(2) 補助金付きで肥料が購入できるクーポンの配布に、どの程度伝統的権威が関与しているかについて農民間で認識に差があること、(3) 肥料クーポンの配布方法や引換方法に対する満足度と伝統的権威の信頼度や評価が相関していること、が判明した。他方で、投票動員に関する役割はあまり認めていない傾向にあり、昨年度ザンビアの公開データで実証した内容と整合的であった。今後は、より精緻な計量分析を行うことで、伝統的権威が農業政策への関与という側面において果たしている役割を検証していくことを計画している。
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