2020 Fiscal Year Research-status Report
制約条件下における連続時間ポートフォリオ最適化の数値解析
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20K22130
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
家田 雅志 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 講師 (50876068)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 最適投資問題 / ハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、機関投資家の要請する「空売り禁止・借入金上限設定」の制約下における連続時間ポートフォリオ最適化問題に対する最適投資戦略の数値解析ツールの構築を行った。本年度第1の研究実績は、研究代表者が過去に解析したポートフォリオ最適化問題を更に直感的に理解しやすく数値解析時の計算負荷を低減する形で再定式化した点である。既存の定式化は空間方向に対する2変数の偏微分方程式であり境界条件も不明であったが、空間方向1変数で同等の問題を表現可能な数理モデルを提案し、かつ本研究の新規モデルにおいては境界条件も特定できた。これらは計算負荷の低減と安定的な数値計算精度の確保に寄与するもの。本年度第2の研究実績は、制約付き最適投資問題を記述するためのハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式に対する数値解析の具体的な実装を示した点である。本研究で用いたカーネル選点法は広く偏微分方程式に適用可能であるが、他の数値解析手法と同様に具体的な実装時には数値解を安定的に得るために幾らかの工夫が必要となる。そのため、本研究により具体的な実装が示されたことにより最適投資問題の研究におけるさらなる応用的な研究展開が期待できるようになった。また、本研究で当初想定した投資モデルの評価手法について、評価関数を変更することにより安定性の向上した投資戦略が得られるとの知見が得られた。直感的な理解は当初想定の評価関数が優れるため、一方的に優れた手法とは言い難いが投資家に対する新しい1選択肢として十分機能するものと考えられる。以上の研究成果について、数値計算手法に関する成果についての論文1編を現在執筆中であり学術雑誌へ投稿予定である。また、投資評価関数に関する成果についても論文1編として査読付き国際学会へ投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、本年度中の最適投資戦略の数値解析ツールの構築を完了するものとした。これが達成されたため、研究計画はおおむね順調に進展しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い本年度に構築した数値解析ツールの確率的金利モデルへの拡張に着手する。また、本年度の研究で明らかになった投資モデルにおける評価関数変更についても深堀りを行う。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍の影響により国内・国外を問わず旅費の発生する出張が事実上不可能であった。従って、旅費に充当する研究費の使用が難しく次年度使用額が生じた。
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