2020 Fiscal Year Research-status Report
中長期的な企業価値創造を支援する企業統治の実践の解明
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20K22133
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
阿部 健人 立正大学, 経営学部, 特任講師 (10874901)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 企業統治 / 中長期的な企業価値 / サステナビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は第二次安倍内閣で実施された企業統治改革が企業の中長期的な企業価値創造に与える影響を明らかにすることを目的としている。これまでの研究では企業統治改革後、ROE(Return on Equity)を代表とする日本企業の財務的な効率性は向上したものの、中長期的な企業価値向上に結びついていないことが定量的な分析によって示されている。しかし、こうした企業統治改革の制度と企業の実践が実際にどのように乖離しているのかということについて十分に研究がなされているわけではない。そこで、日本の企業統治改革の制度と企業の実践の乖離についてインタビュー調査や企業が開示している報告書を利用し、研究を進めている。 今年度はコーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードの改訂などの制度に関する調査と、コーポレートガバナンス報告書やサステナビリティレポートを用いて企業の実践に関する資料の収集と整理・分析に注力した。 制度に関する調査ではコーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードともにESG要素を盛り込んだサステナビリティの内容について対応がさらに求められるように改訂が行われていることを把握することが出来た。 企業の実践に関する調査では、実態については追加的な調査が必要であるものの、企業が開示している情報からはESGやSDGsなどへ取り組みを通じて、一層中長期的な企業価値創造を図っている傾向が把握することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
企業統治の制度の改訂のフォローや、企業が開示している資料を用いた企業統治の実践に関する調査は当初の予定通りに進めることが出来ている。一方で、企業や経済団体の企業統治改革を提案している人物にインタビュー調査を行う予定にしていたが、新型コロナウィルスの蔓延の影響によってインタビュー調査の再調整を行っている。現段階では再調整に時間がかかることが想定され、調査先の選定や手法の変更などに時間を要するために当初の予定よりも時間がかかることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きインタビュー調査の再調整を行い、企業統治の実践については調査を継続して行っていく。第二次安倍内閣の企業統治改革や、その後の改訂された企業統治の制度についての研究成果を学会報告や研究論文としてまとめていく。世界的なコロナウイルスのパンデミックによって、世界的に企業統治を取り巻く諸制度がステークホルダーを重視するように見直される傾向にある。これまでの日本の企業統治の制度も世界的な動向に大きく影響を受け改革が進められてきたため、今後の日本の企業統治制度と中長期的な企業価値創造のあり方を考察するために、コロナウイルスのパンデミックで見直しが進められている企業統治を取り巻く諸制度の世界的な動向についても検討を行う。
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