2020 Fiscal Year Research-status Report
時間選好の実験における選択のtime invarianceの検証
Project/Area Number |
20K22136
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
芝 正太郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (20877740)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | time preference / economic experiment / time inconsistency / time invariance |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,時間非整合性の実証研究における潜在的バイアスである”time variance”を検証することである.そのために,既存研究が採用してきた種々の意思決定環境を特定し,それぞれについてtime varianceが観察されるかのテストを行う. 研究初年度となる本年度は,従来の時間選好の研究を整理して実験で採用する質問票の検討を行った.より具体的には,まず報酬額と時間パラメータ(遅延・front-end-delay)の組み合わせをもとに先行研究を分類し,それぞれで時間非整合性がどのように観察されているか整理を行った.次に,Epper et al. (2020)など近年の研究も参考にしながら実験パラメータおよび属性アンケートを設定した.さらに,インセンティブの実装方法の決定や実験プログラムの作成・学内倫理審査委員会の承認といった実験実施の前準備もすべて完了させた.実験プログラムはZtree(実験室)・Qualtrics(オンライン)の双方で用意されている. しかし,事前の計画で本年度後半に実施予定だったプレ・本実験は,度重なる緊急事態宣言や外出規制のために実施することができなかった(理由は後述).そのため実験を来年度に延期し,その代替として研究セミナーなどを利用して研究計画の質の向上を図ることにした.複数の外部研究セミナーにて研究計画を説明しフィードバックをもらった結果,例えば非金銭報酬に対するtime varianceのテストを追加するなど,近年の研究動向を考慮したより効果的な実験設計を考えることができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由は,先述のようにプレ・本実験を本年度中に実施できなかったからである.本研究は,time varianceのテストをするという目的から,1.被験者に2回,連続して(2週間~6か月間隔で)実験室に来てもらう必要がある,2.ほかの研究への接続を考えて大学生被験者が望ましい,といった特性がある.そのため,いつ実験室が使えなくなるかが不確実だった本年度は,どのタイミングで実験を開始してもデータを丸々取り損ねるリスクがあった. また,他の経済学実験の研究では実験室の代わりにインターネットを用いたオンライン実験で代替することが広く行われている.我々も本研究でオンライン実験を用いることを検討したが,1.ほかの研究との接続を考えると実験室実験が望ましい,2.早稲田大学が来年度に対面授業をするための投資を多く行っているため来年度には状況が解決する可能性がある,といった要素を勘案し,来年度まで延期して実験室実験をする方がよいと結論した.
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は本年度の検討・準備をもとに速やかな実験の実施と成果の発表を行う.具体的には,来年度5月に最初のデータを取り始め,そこから最大6か月の時間差を設けて二度目の時間選好測定を行う.また,一部の早期データ(2週間から1ヶ月程度の時間差で測定したもの)のみの分析でも十分に学術的貢献が期待できる.従って,早期データがそろった段階で分析を行い,結果をショートペーパーに纏めて発表する.その後,順次追加のデータが入手出来次第分析を追加・アップデートしていく.
|
Causes of Carryover |
実験実施を延期したことによる.そのため研究出張や論文作成にかかる費用なども次年度に持ち越す必要が出てしまった.次年度に改めてプレ・本実験を行い,その後は当初の計画通りに学会発表や論文執筆,追加実験等を行う.
|