2022 Fiscal Year Research-status Report
時間選好の実験における選択のtime invarianceの検証
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20K22136
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
芝 正太郎 早稲田大学, 政治経済学術院, その他(招聘研究員) (20877740)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | time invariance / time inconsistency / preference stability |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は時間選好のtime invarianceについて金銭利得・非金銭利得(努力タスク)それぞれでテストを行い,どのような環境で時間非整合性の静的実験が正当化しうるか検討するものである. 昨年度までの検討をもとに本年度6月-11月に早稲田大学学生158人を対象にオンライン実験を行い,金銭利得・非金銭利得それぞれに対する被験者の時間選好を測定しtime invarianceのテストを行った.実験に最後まで参加した104人の被験者について分析した結果,金銭利得について平均レベル・個人レベルいずれにおいてもtime invarianceのviolationは深刻でないこと,とりわけdelay sizeが数か月程度の場合ほとんど無視し得ることが分かった.非金銭利得については平均レベルでtime invariantであったものの,個人レベルでは半数以上の被験者がtime invarianceを満たさなかった.また,個人レベルのviolationは一部の個人変数の変化(例えば月収)と相関するものの,大部分は属性変化では説明できず一部の被験者が真にtime variantな選好を持っている可能性も示唆された.本実験の結果は金銭利得に対する従来の時間非整合性のテストを正当化する根拠を提供する.他方,非金銭利得についてはdelay sizeに依らず動的な非整合性テストの適用が望ましいだろう. 以上の結果を学内ワークショップや学会で報告し,行動経済学会(12月,ポスター発表)では発表がポスター発表奨励賞に選ばれた.また来年度5月のAsia-Pacific ESA(韓国)の口頭発表にも応募し受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はようやくコロナの影響が比較的に小さくなったため実験を実施することができた.またその結果を分析し,研究報告・論文執筆なども順調に進んでいる. しかしながら,環境の安定を見るために実験を実施できたのが6月で当初の想定より若干遅くなってしまった.またコロナ前と学生の環境が変わったためか予想より被験者の集まりが悪く,計画していた条件群の一部を延期せざるを得なかった.来年度は学会報告・論文執筆と並行して延期した実験群の実験を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は国際学会での研究報告とワーキングペーパーの作成に集中する.ペーパーは可能な限り速やかにオンラインで発表し,その後国際学術誌への投稿を進める.
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Causes of Carryover |
前述のように実験実施時期の遅れと一部延期によって当初計画していた研究計画が一部次年度に回ってしまった.次年度は延期した条件群の実験と,学会発表・論文執筆を進める.
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