2021 Fiscal Year Research-status Report
制度論的アプローチによる組織の長期的存続プロセスの理論的・実証的解明
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20K22137
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
古田 駿輔 早稲田大学, 商学学術院, 助手 (40879673)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 新制度派組織論 / 制度維持 / 制度的企業家 / 制度変革 / 歴史的組織研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に採択された査読付き論文と2つの学会報告の内容に絞って説明する。 査読付き論文のテーマは、制度的企業家概念と新制度派組織論に関する論文である。新制度派組織論では制度変革が研究テーマの一つとなっている。制度的企業家は制度変革を説明する要因の一つである。新制度派組織論の理論的発展を考える際、制度的企業家概念を批判的に検討する必要性を認識したため、このテーマについて検討している。 本論文の主張の一つは、制度維持(Institutional Maintenance)概念に関する理論的解明の必要性を論じたことにある。新制度派組織論では、制度変革などをはじめとした変革や変化に関する議論が中心である一方、既存の制度をいかに維持するのかに関しては十分に解明されていないことを明らかにした。 一つ目の学会報告(組織学会研究発表大会)では、正統性と維持に関する研究報告である。先行研究では、組織が一度正統性を獲得すると、組織はその正統性を持続させる可能性が想定されてきた。しかし、本報告では、特撮映画「ゴジラ」と東宝株式会社の定性分析を通して、組織が一度獲得した正統性が、時系列的な変化により組織に負の影響をもたらす可能性を提示している。二つ目の学会報告(経営戦略フォーラム)では、制度維持に関する理論的課題を検討している。そして、制度維持のプロセスモデルについても検討を行った。具体的な本学会報告の成果については、今後論文の形で国内学術誌への投稿を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の大枠は進めたものの、設定したリサーチ・クエスチョンには十分に答えられなかったという点で、進捗状況としてはやや遅れていると判断している。だが、学会報告などによって「制度維持」に関して学内外の様々な研究者からアドバイスをいただいたため、理論的な検討については想定上について進められた。現在は、「制度維持」の概念についての論文を2本執筆中であり、今年度中の投稿・採択へ向けて研究を進めていく。 特撮業界や中間持株会社に関する定性研究も進めており、学内外の研究者との意見交換を行いながら、研究・論文の質向上に努めている。定性分析の論文については、国内だけではなく、海外journalへの投稿(歴史系のjournalが候補)を視野に入れながら研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策については2つである。 一つ目は論文の執筆・投稿である。論文を2本執筆し、国内学術誌への投稿を行う。2本とも、理論研究をベースとした論文である。学内の先生方からも意見やアドバイスをいただき、論文の質を高めていきたい。 二つ目は定性分析である。これまでは特撮業界や中間持株会社に関する先行研究の整理に努めてきた。今後は、歴史分析を中心とした定性的な実証分析を行う。分析の結果については、学内外の研究者に意見を伺いながら、研究・論文の質を高めていく所存である。
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Causes of Carryover |
理由としては、早稲田大学から単年度(2021年度)の複数の助成を受けることができたからである。これらの助成については当初予定していなかったことが挙げられる。 企業への調査費用や書籍や資料の購入費、英語校正費用のために使用する予定である。論文の質を高めるために使用する所存である。
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Research Products
(3 results)