2020 Fiscal Year Research-status Report
市場流動性を原因とするアンダープライシングと新規上場企業の財務政策に関する研究
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20K22140
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 宗谷 同志社大学, 商学部, 助教 (50876240)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 新規株式公開 / 市場流動性 / コーポレート・ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「市場流動性を原因とするアンダープライシングと新規上場企業の財務政策に関する研究」という課題のもと、新規上場企業が主幹事証券会社と取り交わす流動性保証契約の有効性を明らかにすることにある。 本年度は、先行研究のレビューおよび実証分析で使用するソースコード実装、データベースの構築を中心に行った。先行研究の核心は、将来予見される市場流動性の低下によって投資家の応募を惹き付けることのできない新規上場企業であっても市場流動性の保証にコミットする条件を結ぶことで、公募価格を高く設定できることを示している点にある。しかし、一方で、契約費用を加味した上で、純資金調達額が向上するのか、また投資家を含めた市場参加者の社会的厚生が向上するかが未だ未解決の論点となっていることなどを洗い出した。以降のモデル開発・分析で取り入れるべき題材の整理に至ったと考えている。 また、ソースコード実装では先行研究を参考に、市場流動性変数の計測を完了することができた。このことから、次年度以降に円滑に実証分析を進める段階に至ったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、当初予定していた理論モデルの開発・分析について難航した。具体的な理由は、モデルの均衡導出過程において制約条件の処理が複雑になり、解析解の導出に時間がかかっているためである。一方で、関連文献のレビューおよび実証分析で使用するソースコード実装については滞りなく進められたことから上記のように判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、理論モデルの開発・分析を最優先に取り組む計画である。現時点で解析的な均衡導出に難航しているため、モデルの単純化やシミュレーションによる数値解の検討も行う必要があると考えている。また、データベースの構築についてはリサーチアシスタントの雇用を拡充するなど工夫し、平行して実証分析を進める。研究成果は次年度7月を目途にまとめ学会発表を行い、その後論文執筆を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主たる理由は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、学会および講演会が中止・オンライン開催に移行したことによるものです。これにより、当初計画していた学会旅費の執行が発生しませんでした。この次年度での使途として、リサーチアシスタントの雇用に追加して振り替える計画です。
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