2020 Fiscal Year Research-status Report
The consciousness of the effects of having or not having blood relation in a parent-child relationship
Project/Area Number |
20K22147
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久保原 大 東京都立大学, 人文科学研究科, 博士研究員 (80881078)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 血縁意識 / 親子関係 / 血縁/非血縁 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステップファミリーの増加や第三者がかかわる生殖補助医療などにより家族の多様化が進み,親子関係における血縁は当たり前のものではなくなりつつある.そして,第三者がかかわる生殖補助医療によって生まれた人たちが出自を知る権利を主張したり,非血縁パートナーによる子ども虐待など,親子の血縁をめぐる問題が起きている.しかしながら,人びとが親子に血縁がある/ないということに対してどのような意識を持っているかは,明らかにされていない.そのため,このような親子の血縁をめぐる問題への対応策を提供できない状況にある. そこで,本研究の目的である,親子の血縁をめぐる問題への対応策を検討するために,人びとの血縁に対する意識が意識がどのようなものであるかを問うインターネットによるアンケート調査を行った.調査は,民間調査機関を利用し,1,000名(男女各500)の回答を得た.対象者の年齢は16歳から69歳.データの細かな分析は次年度に行うが,「血縁にこだわる」「血縁にこだわらない」というようなこれまでの二項対立による人びとの血縁に対する意識ではなく,親子関係に血縁がある/ないということにどのような意識を持っているか,さらにその理由も含め,これまでに明らかにされていないことについての回答が得られた.また,単純集計からその意識には,ジェンダー差や年代差がある可能性も示唆されており,血縁に対する意識が社会的な影響を受けているのであれば,情報提供や教育による啓蒙が効果を示すことに期待できる.そしてそれは,家族の多様化が進む現代社会においての,親子の血縁をめぐる問題への対応策を提示することにも寄与することができると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究活動スタート支援」の初年度は期間が短いため,アンケート調査実施にかかわる倫理審査およびその調査の実施にかかる時間によっては初年度に調査が完了できない可能性もあったが,年度内に完了することができた.データ分析は次年度の課題となるが,概ね目的を達成するために必要なデータを取得することができた. また,必要機器の取得や当初購入予定していた文献の取得ができた.しかし,次年度に取得を予定している図書の中には,絶版などの理由により購入することができないものもあるため,国会図書館などの利用が必要なものもある.
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Strategy for Future Research Activity |
取得したデータの分析を行い,人びとの血縁意識がどのようなものであるかを検討する.属性クロス集計により,年代,ジェンダーによる差異についても検討する.また,設問間クロス集計により,血縁意識がライフコースにおける選択に影響するかを精査する.並行して,取得した文献から親子と血縁にかかわる問題を再検討し,本研究からそれらの問題への対応策を考察する. 研究の成果については,6月の福祉社会学会大会,9月の日本家族社会学会大会における報告を予定している.福祉社会学会大会では,「子ども虐待と非血縁パートナー―血縁意識に着目して」というタイトルで,非血縁パートナーからの子ども虐待を血縁意識という視点から検討することの重要性を示すために,人びとの血縁に対する意識がどのようなものであるかを明らかにすることを目的とする報告を予定してる.家族社会学会大会では,「親子と血縁―人びとの血縁意識とは」というタイトルで,人びとが血縁に対してどのような意識を持っているかを明らかにすることを目的とした報告を予定している.どちらも会場での口頭発表を想定していたが,コロナ渦の影響によりどちらもオンラインによる開催となった.そのため,オンラインによる報告のための環境整備のためにノートパソコンをもう1台購入することが必要となった.当初に購入したノートパソコンはデータ分析のためのものであり,データ量が多いためオンライン用に同時使用すると,質問への回答が難しくなることと,zoomとの同時利用による動作不良のリスクを回避するためには必要である.したがって,購入を予定していた文献を減らさなければならないが,学会がオンライン開催になったことにより,当初旅費として申請していた分をそちらに充てられるため,影響を少し抑えることができると考える. さらに,研究の成果をもとに論文を執筆し,機関誌への投稿を予定している.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,取得予定であった書籍が絶版などの理由により取得できなかったためである.使用計画は,次年度の図書の購入に充てる予定である.
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