2021 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の経営・管理者層における組織イデオロギーの受容に関する歴史社会学的研究
Project/Area Number |
20K22160
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Research Institution | Aomori Public College |
Principal Investigator |
中川 宗人 青森公立大学, 経営経済学部, 講師 (40761010)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 科学的管理法 / 人間関係論 / 経営モデル / 知識社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後日本において経営・管理者層に影響を与えた組織イデオロギーを歴史社会学的に明らかにすることである。組織イデオロギーとは、組織やその環境において生じる様々な問題を分析し解決するための理論や専門技術などを含む、組織に関する理念的モデルないしイデオロギーを意味する。従来の研究では、こうした組織イデオロギーの重要性は見落とされてきた。本研究を通じて、従来の労使間の合意や経済的合理性による分析枠組みによっては十分に説明されえなかった日本的雇用システムの特質や問題性について、新たな理解可能性を示すことを目指す。 以上の目的をふまえて、2021年度は日本における3つの組織イデオロギーのなかでも、人間関係論に焦点を当て、資料の収集と分析を行った。分析の結果、従来の研究においては日本の企業経営に大きな影響を与えていないとされてきた人間関係論について、新たな枠組みと資料の検討の範囲を広げることで、異なる影響の形を検証することができた。この知見は、1960年代末に導入され、現在の日本の雇用システムの重要な支柱されている職能資格制度の背景をより精緻な仕方で検討する仮説として位置づけることが可能である。 以上の研究成果について、産業・労働社会学分野の編著に収録し、2022年4月に刊行することが出来た。一定の成果を得られた組織イデオロギーの分析という枠組みを、さらに発展させていくことを課題としたい。
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